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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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高階杞一詩集『水の町』・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
高階

──高階杞一の詩──(7)

       高階杞一詩集『水の町』・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
                     ・・・・・・澪標2015/05/01刊・・・・・・・

この本が著者から贈呈されて来た。
私が敬慕する高階さんの第14詩集になる。
この詩集には全部で 24編の作品が収録されているが、「初出」は、主宰される詩誌「ガーネット」や「交野が原」が大半を占め、ほかに「読売新聞や」「朝日新聞」などに寄稿したものなどによる。
中には「赤旗」というのも見られ、これは日本共産党機関紙のことと思われ、高階さんの交友の広さを物語るようである。(引用した「道」という作品)
作品制作年:2011年~2014年 とある。
掲出したカバー装は、 装幀:倉本 修 によるものである。
そして、「あとがき」には、こう書き出している。

  < 今回、本書のまとめをしていて、「水」に関連した作品が多いことに気がつい
     た。数えてみると、24篇中13篇に「水」が出てくる。雪や雲など、「水」に関わる
     ものを加えるとさらに多くなる。これはどういうことだろう。  >

さらに、この詩集の「帯」裏に

  <  雨は山に降りそそぎ、その水は川となり、川は海へと流れ、
     海の水は蒸発して雲となり、その雲が雨となりまた山に降り
     そそぐ。この循環は還暦の一巡と似ている。もし自分が山に
     降りそぞいだ一滴の水であるならば、今、一巡してまた山の
     上流に戻ったことになる。再び海へ戻っていくことはな
     いけれど、二度目の旅をどの辺りで終えるのか、その「水の
     町」のことをときおり思ってみたりする。 >

という「あとがき」からの抜粋が載っている。
作者が、この詩集を「水の町」と題したエッセンスが、ここに要約されていると言えるだろう。
以下、掲載順にいくつか引いておく。

     金魚の夢

   夜店の
   金魚すくいのあとで
   金魚になった
   なってみれば
   それほどたのしいこともない
   みずのなかで
   おちてくるえさをまつ
   たべたらねむる
   おきたら
   すこしだけおよぎ
   またえさをまつ
   そうして
   じぶんがなんなのか
   すこしずつわからなくなっていく

   それなのに
   おなかだけはすく

   がらすのむこうのよる
   でんちゅうがいっせいにあるきだし
   はんらんをおこす
   ゆめをみる
   すこしおもしろい


     春の分かれ

   それから
   誰にも聞こえないように
   さようなら と言って
   出ていきました
   肩にはまだ昨日の鳥がいて
   きれいな声で歌っていましたが
   戻りたくなったら困るので
   道端の男の子にあげました
   缶をけって
   ポストに手紙をいれて
   橋をわたり
   そして
   約束の場所に着くと
   次の人がいて
   あとはもう吸われて消えていくだけになりました
   たのしかったこと
   つらかったこと
   思い出は足が長いので
   きちんと折りたたまれて
   吸われていきます
   下では
   次の人がもう歩きはじめています
   新しい服を着て
   新しい鳥を
   肩にちょこんと乗せて


     

     矢印が
     あっち
     というふうに
     立っている

     あっち はどんなところだろう
     と考えながら
     通りすぎる

   というような詩を
   昔 書いたことがある
   まだ道に迷って
   ふらふらと歩いていた頃のこと

   それから
   何度もその矢印の前を通ったが
   あっちへは
   ついに行かないまま
   時は過ぎ去った

   今、窓辺に坐り
   沈んでいく夕日を見ながら
   あのときの詩を思い出している

     こっちにもきっと
     いいことがある

   と書いたところで行き詰まり
   投げ出してしまったが
   ときおり
   ふっと思い出す

   (もしもあっちへ行っていたら
   今頃どんなところにいるだろ......)

   やっぱりあっちでも
   こっちのことを思っているような......
   こんなふうに窓辺に坐り
   ひとり
   沈んでいく夕日を見ながら


     水の町

   立派な人になりなさい
   と言われても
   川の曲がりくねって流れる町は
   年中水びたしだったし
   駅前の広場では
   毎日
   イルカのショーをやっていた
   台の上には
   いつもきれいなお姉さんが立っていて
   片手をあげて
   ぴぃ—っと笛を吹く
   すると
   イルカがいっせいに飛びあがり
   空から
   またいっせいに落ちてくる
   そのたびに水が飛びちり
   人も車も止まる
   お姉さんはきっと婦人警官になりたかったんだと思う
   ぼくは婦人警官にはなれないけれど
   お姉さんの
   あの口にくわえた笛ぐらいにはなれると思った
   お姉さんの吐く息がぼくの中を通って
   ぴぃ—っと  いい音で鳴る
   そんな笛に
   努力をすればなれると思った
   立派な人がどんな人だかわかんなかったけど
   学校帰りに
   いつも見ていた

      ぴぃーっと 笛を吹くお姉さんと
      空から落ちてくるイルカを

   曲がりくねった川の
   流れる町で

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高階さん特有の「メルヘンチック」な調べであるが、判りやすいようではあるが、全体が「暗喩」になっているので、易しくはない。 それが「詩」というものである。
引用した「道」という作品などは、その典型だと私は見たが、どうだろうか。
読者は、各人なりに読み解いていただきたい。

ご恵贈ありがとうございました。
詩作品はスキャナで取り込んだが、多くの文字化けが生じる。子細に修正したが、まだあれば指摘してください。即刻、直します。

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