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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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メタボリック症候群というなかれ俺はれっきとした河馬なのだ・・・・・・・・三浦好博
(初出・Doblog2008/11/28)
ときの扉

  メタボリック症候群というなかれ
   俺はれっきとした河馬なのだ・・・・・・・・・・三浦好博


三浦好博さんは千葉県銚子市在住の人である。
長年、NTTに勤めておられたが、今は退職されているようだ。
1942年、宮城県生れ、現在は「地中海」編集同人という。
第三歌集『ときの扉』(新葉館出版刊)は『水辺のうた』 『流星』に続くものである。
この歌集の「あとがき」に彼は書く。

<いつの間にか社会的・時事的な歌の方に感動を覚えるようになりました。つまり生きることに直接関わりある事で、今の政治状況の中で如何に人間が貶められ、恥ずかしい目に逢っているかということでした。>

ネット上に載る記事を読むと、ひところ、彼はNTTという会社の社員処遇の不当性を訴えて裁判にかけている、ということだった。それはそれで人の生き方として尊敬に値することだと私は思う。
この歌集も、ありきたりの歌集の体(てい)ではなく、時事がふんだんに盛られているので、鑑賞してもらいたい。歌の前書きのような形でゴシック体の字列が多く見られるが、これらは前書きではなく、一つの独立した歌、になっているのだった。450首を収録となっているが、実際には700首くらいになるだろう。
ネット上の歌会「題詠マラソン」に参加しての歌も多い。
なお広い分野にわたる話題を採り上げた三浦好博ホームページがあるので、ここからアクセスされたい。

以下、私が目を留めた歌を引く。私の引いたものは、どちらかというと大人しいものである。

風邪のため銃弾二粒飲みにけり強いられし死をふと思うなり

「ぬくめしー」は正岡子規が言えばこそ風邪に臥す妻に一声われも

磔刑の釘跡残すはなみずき皐月の空へ神の返礼

童心はデイゴの落花を投げ合いて獅子の甍の道を海まで

虐待死交通事故死テロ自殺過労死孤独死嗚呼嗚呼戦死

築山の陰より高くユッカ咲く勇壮恥辱の歴史を鎮め

人はみな死への囚われ人なるを長蛇の列に香月泰男も

ココシカの『風の花嫁』に封じられマーラー夫人アルマのその後

河口にて解放されし利根川の海に注ぎてなお水の道

潮騒に応えて揺るるはまゆうの花ぐるまかもやがて汚れむ

「鉄兜蹴飛ばせば人の首だった」沖縄の人の言葉忘れじ

うつせみの命枯れゆき死ねざれば老い人が老い人を介護す

死滅する弱き遺伝子の裔ならん貧乏というものを組み込み

貝になり雲丹となりゆく社の中の息苦しさを漏らし居たれど

「忙」と「忘」は心の亡びにありたれば忙にて心の解放にせん

友情の育みがたき世にありて茶房の真昼赤ゼラニューム

返答にいっも困りぬ床屋にて相田みつをの額がいっぱい

ナルシスは水の仙人自己愛を咲かせてシルクロードを来たり

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掲出の「河馬」の歌の何とも言えぬ「諧謔性」は、見事なものである。

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