K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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『無冠の馬』─私信と抽出歌・・・・・・・・・・・・・・鎌田弘子
mukannouma (2)
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   草弥の詩作品<草の領域>
      poetic, or not poetic,
      that is question. me free !
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        『無冠の馬』─私信と抽出歌・・・・・・・・・・・・・・鎌田弘子(「未来」会員)

立夏もすぎ垣根のむべの花は小さな青い実となり、つつじの赤紫のさかりです。

   ・春惜しむ命惜しむに異らず                        高浜虚子
   ・ながらへてあれば涙のいづるまで最上の川の春を惜しまむ    斎藤茂吉

若い頃の昔、この二つの詩情を心にふかく、そして考えて短歌に即くことにしましたが、今の季節ふかい思いの句と歌です。
御歌集『無冠の馬』有難うございます。
旺盛な行動力とその世界、羨しく敬服申上げます。

*白鳥の帰る頃かもこぶし咲き白き刹那を野づらに咲ふ
*チューリップはらりと散りし一片にゴッホの削ぎし耳を想ひつ
*千年きざみに数ふる西洋か 日本は百年に戦さ五度
*午年生まれ ましてや無冠のわれながら馬齢を重ね八十五となる
*はたと膝打ちたるごとく椿落つ三輪の百千の椿の山は

はたと膝打つ・・・・・聴く話芸をたのしむ。すてきな共感のマナー。少し年配の美しい所作に心ひかれます。

*母逝きて巡る忌日に思ひ出づ俯きて咲く片栗の花
*子を産みて母となる子よ山茶花の蕾の紅の膨らみ初めつ
*人間とちがふ眠りのサイクルと思ふ蝸牛が葉かげに眠る

蝸牛の眠り・・・・・面白いですね。私の庭 稀にかたつむりが居ます。
今朝早く庭の石道の上に大きな黒い蟻が歩みをとめて休んで<春眠>のようで、ああそうか、など思いました。

*紅茶の産地ヌワラエリヤは高地にて涼しく気温二十度といふ
*クオードとは四辺形の意、城壁に囲める庭に建物十二
つい数年前までタミール人「解放のトラ」テロと血みどろの抗争があり大統領が訴へた
*「憎しみは憎しみにより止むことなく愛により止む」ブッダの言葉
*「美しき村」のひとつリクヴィル ここも昔ながらの木組みの家並み
*三角形のキッシュ出でたり素朴なるアルザス・ロレーヌの郷土料理ぞ
*「メール・ブラジェ」女性として初めてミシュラン三ッ星獲得、その弟子の一人がポール・ボキューズ
*「若い時は死とは何かが判らない」初対面のクロードにペルケン言へり
*牛に引かす荷車に木舟のせてゆく先は湖トンレサップか
*いにしへの王の別荘より出でしゆゑ「アギア・トリアダの石棺」と名づく

固有名詞のリアリティに魅力を感じました。

*猛々しき男ならざる我ながら男を止めよと言はるる哀れ
*照射位置を示す腰間の+の字三十七回済みたればアルコールで消す
*<死にし人は死もて齢を堰きたる>と言ふを諾ふ 青葡萄生る
*狩衣の乱るるなへに狛錦紐解き待てる若草の嬬
*甘谷の水は菊水「菊慈童」の七百歳のいのちこそ憶へ
*ふたりは繋がつて獣のかたちになる 濃い叢にあふれだす蜜

春惜しむ心に人生の時を惜しむ思いもまぜて本の片づけ。若い頃に読みましたのに、惜しんで今再読など、はかどりません。
もう暫く元気で居ないと、と思いふかく欲ふかく自戒の暮しです。
どうか、おすこやかに、ご歌境のご発展を。  御礼まで。      かしこ
  五月十三日                          鎌田弘子
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鎌田弘子さんから懇篤なお手紙をいただいた。 鎌田さんは「未来」近藤芳美に長年師事して来られた人である。
私の前歌集『昭和』にも批評をいただき、ご紹介したことがある。
ここに深甚なる感謝の意を表するものである。 有難うございました。


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