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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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両国の博物館に寒明けを観る十宜帖宜春のところ・・・・家原文昭
(初出・Doblog2008/11/27)
宜春

  両国の博物館に寒明けを
   観る十宜帖宜春のところ・・・・・・・・・・・・家原文昭


家原文昭さんはNHKに長年勤務されていた人で、60歳で定年退職された。
この歌集『宜春』(ぎしゅん)(ながらみ書房刊)は、その60歳から65歳までの五年間に制作された歌が収録されている。
「あとがき」によると妻子を東京に残して、郷里の福岡県に住む母堂の身辺の面倒をみるために、単身赴任のような形で、ほぼ十年間過して来られたらしい。
家原さんとの付き合いも十数年になろうか。今は結社「地中海」と、地元の石田比呂志主宰の「牙」短歌会に歌を出されているようだ。
私の詩集『免疫系』のお返しのかたちで、この歌集を賜った。
なお「宜春」とは、蕪村が池大雅との合作で描いた絵の一つのことだという。第六歌集になる。

以下、家原さんの目下の「境涯」詠と言える歌を引きたい。

ボンカレーは辛口を買って来よと言う八十六歳母が出掛けに

デイケアに母折るという折り紙を三セット買う文房具店

東海林太郎載る「広辞苑」四版に窓より月の光が差せり

カエサルの暗殺の日といつか知るわが誕生日ワインを飲めり

留守の間に母が焦がしし鍋磨く今宵のわれは辛抱強く

盆去れば母と二人の祖霊祭焦げたる畳に座りているも

生活費送金をして町に飲む昼のビールの苦きときあり

屠蘇散の袋沈める酒器の朱ガラス戸越しに見て独りなり

八咫烏祀る半農半漁の村鰆東風吹き松林鳴る

宇島の酒房大八に「雨後の月」飲んでゆらりと出れば梅雨空

歌一首調ぶるうちに浄土宗宗派のことに深入りをせり

焚刑にドミニコ会士死ぬるくだり冷えて暮れゆく部屋に読みたり

道祖神除きて道を拡げたる町は廃れて空風吹けり

紙パンツ尿取りパッドも買い慣れて古自転車の荷台に括る

鼻濁音好しとぞ思う女優にて冬の京都の雪の白妙

白光に春三月の淡雪が木瓜のくれない励まして降る


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