
百日を咲きつぐ草に想ふなり
離れゆきたる友ありしこと・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
この歌は私の第二歌集『嘉木』(角川書店)に載るものである。
「百日草」は名前の通り夏の間、百日間も秋まで咲きつづける草花である。病気などにも罹らず極めて強い花である。
この歌は「花言葉」をネタに歌の連作を作っていた時のものであり、百日草の花言葉は「不在の友を想う」である。
花言葉のことだが、私の歌の「離れゆきたる友」というのは正確ではなく、私の方から何となく離れていった、というべきだろうか。
私の性癖として、友人、知人の何らかが鼻につくと身を引くところがあるのである。
一種の潔癖主義というか、包容力のなさ、ということであろうか。

百日草に戻ると、この草は私の子供の頃からある草で日本の草のように思っていたが、外来種らしい。外国では「薬用」として栽培されていたという。
地味な花で、今では余り盛んに植えられては居ないようだ。

今では、これも秋まで百日以上も咲きつづける写真③の「日日草」が、これに取って代わるだろう。
極めて安価な草で、病気にも強く、広く植えられている。私の方でも植えている。
いま調べたところ「百日草」はメキシコ原産でキク科の一年草で、「日日草」は西インド原産でキョウチクトウ科の一年草という。
歳時記にも、両方とも載っているので、それらを引いて終わりたい。
百日草ごうごう海は鳴るばかり・・・・・・・・三橋鷹女
蝶歩く百日草の花の上・・・・・・・・高野素十
これよりの百日草の花一つ・・・・・・・・松本たかし
一つ咲き百日草のはじめかな・・・・・・・・瀬野直堂
病みて日々百日草の盛りかな・・・・・・・・村山古郷
心濁りて何もせぬ日の百日草・・・・・・・・草間時彦
朝の職人きびきびうごき百日草・・・・・・・・上村通草
毎日の百日草と揚羽かな・・・・・・・・三輪一壺
母子年金受く日日草の中を来て・・・・・・・・紀芳子
働かねば喰えぬ日々草咲けり・・・・・・・・佐伯月女
日日草なほざりにせし病日記・・・・・・・・角川源義
紅さしてはぢらふ花の日日草・・・・・・・・渡辺桂子
日日草バタ屋はバタ屋どち睦び・・・・・・・・小池一寛
嫁せば嫁して仕ふ母あり日日草・・・・・・・・白川京子
些事多し日日草の咲けるさへ・・・・・・・・・増島野花
出勤の靴結ふ日ざし日日草・・・・・・・・鶴間まさし
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