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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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神遊びをさめたりしか蝉丸の琵琶の音色の谷を渡りし・・・村島典子
晶65号

──村島典子の歌──(3)

  蝉丸・・・・・・・・・・・・村島典子

神泉を降りて迷へり丸山町の交番にきて尋ね人われ

「クララ」へはもう四五回はきしならめ神泉巡れどゆきつけぬ店

「クララ」こそシューマンの妻、妖精のやうなる人の待ちくるるなり

あららぎの赤き実ともり新軽のきみの住まひは秋の森の中

「ごはんや」にごはんを食べに幸子さんの後ろにつきてたどたど歩く

のつしのつしと歩く人なり街道を脈うつごとくあたたかし君

礼拝堂の扉のまへに出会ひたる神のけはひを湛へたるひと

「せつかくですからお入りください」と促さる扉に顔をつけてゐたれば

幸福の谷につづける浅間石の石畳ふむ栗の毬ふむ

片足を群馬にかけて山上の秋白光にまみれてゐたり

身二つになれぬみ社秋天の碓氷峠に見てたつわれは

この峠越えてゆくべしささなみの近江草津へつづきたる道

ゆるやかな秋の坂道往き来する友ありてけふは天より出でく

須臾ふかき沈黙ののち鳴り出でしあしたのラジオ「雪の降る街」

手をあげて対岸に電車待ちゐたる若き日の師あり夢にふたたび

耳痛むひと日のをはりまはだかの柿の細木にあつまる光

冬の雷とよむあしたは偲びたりこの一年に訣れたりしひと

札の辻に別れを言ひき直(ただ)のあひ適はずなりぬわれら旅人

しろがねの実は街路樹にうつくしく冬の朝の鳥をあつむる

ばらばらと真珠をこぼす街路樹をしまらくながむ降誕の朝

日赤の裏の小さな無人駅の椅子に園児のごとき座布団

「神」一字の扁額かかげし冬のそら黄にもゆるかな蝉丸神社

蛇と見ゆ注連縄の下の神の文字神座(かみくら)なれば舞はしむるかな

神遊びをさめたりしか蝉丸の琵琶の音色の谷を渡りし

逆髪の姉をしづめて奏でられし、蝉丸の琵琶きかまほしけれ

これやこの手向の山の冬ざれの「藤三郎紐」たづねて歩く

旅人は華やぎにけむ逢坂に手にとり愛でしとりどりの紐

うつくしき三重の石塔見むがため逢坂山を越えて来りし

牛塔はふとぶとやさしはつふゆのみ魂やどると拝(をろが)みにけり

ヒマラヤゆ運ばれし乳ありけりと牛塔あふぎ慎むわれら

言葉みなとほく忘れてしまひし日ひかりと遊ぶわれは山姥
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これらの歌は2009年2月刊の季刊『晶』65号に載るもので、村島典子さんから早くにいただいていたものだが、D0blogの障害事故などで延び延びになっていたもの。
お詫びして、ここに載せる。

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