K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
201705<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201707
角川書店「短歌」2015年8月号『無冠の馬』評・・・・・・・・・・・魚村晋太郎
短歌
mukannouma (2)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
   草弥の詩作品<草の領域>
      poetic, or not poetic,
      that is question. me free !
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


     角川書店「短歌」2015年8月号『無冠の馬』評・・・・・・・・・・・魚村晋太郎(「玲瓏」会員)

ooooooooooooooo
木村草弥歌集
『無冠の馬』


平成27年4月25日
KADOKAWA
2800円(税別)
ooooooooooooooo

 ・十戦十勝かつ英国首位種牡馬─セントサイモンは《無冠馬》だつた

 ・午年生まれ ましてや無冠のわれながら馬齢を重ね八十五となる

著者の第六歌集である。三部構成の I 部は「無冠の馬」と題されている。
十九世紀末に活躍した競走馬のセントサイモンは、馬主の死亡という不運によりクラシックを戦うことができなかったが、
出場したレ—スでは十戦十勝の成績を収めた。
その後、伝説的な種牡馬となり、現在ではサラブレッドでセントサイモンの血を引かない馬は存在しないほどだという。
作者は不運の名馬に自らの人生を重ねる。「無冠のわれ」とはむしろ作者の矜恃であろう。

 ・三椏の花はつかなる黄に会ふは紙漉きの村に春くればゆゑ

 ・八ツ手の花ひそと咲く白昼凩や ネルソン•ホリシヤシャ・マンデラ氏逝く

三椏は高級和紙の原料になる。
八ツ手はいかにも日本的な植物だが、反アバルトへイト運動の指導者で元大統領のマンデラ氏が亡くなったのは、丁度その花が咲く十二月だった。
作者にとって自然の風景も、歴史や文化と切り離せない存在である。

「テラ・インコグニタ」つまり未知なる土地と題されたⅡ部には、東洋から西洋にわたる夥しい海外詠を収める。

 ・シンハラ人に言ひ伝へあり「ライオンを殺した者」とふ建国神話

 ・見学証三日通用にて四十米ドルなんでも米ドルが通用する国

 ・歯を見せて笑ふ女神めづらしと見れば豊けき乳房と太腿

 ・水牛に水浴びさせる少年の総身に水滴したたりやまず

スリランカを舞台にした一首目には「六世紀編纂の本『マハーワンサ』王権神話」と詞書がある。
続く三首は力ンボジアが舞台で、通貨に見られる内戦の痕跡から、神話世界のエロスまで、悠久の時間を作者は見つめている。

 ・マンスリー ・マンション三階、病室より持ち帰り洗ふ妻の下着を

自身も癌を患いながら、作者は妻の最期を看取った。Ⅲ部にはそのかなしみが切切と詠われている。
老いや愛する人との別れからは誰しも逃れることができないが、世界を識り、世界を記述することに対する作者の旺盛な情熱に圧倒される一冊である。
〈魚村晋太郎・評〉
--------------------------------------------------------------------------------
本日発売の「短歌」誌に、魚村晋太郎氏が、私の作歌の意図を汲んだ、ご懇篤な批評を書いていただいた。
有難く厚く御礼申し上げる。 
このように作者の意図を的確に突いた批評をいただくというのは、作者冥利に尽きる、というものである。
この批評の掲載を手配下さった編集長・石川一郎氏と担当の内田翼氏に感謝申し上げる。
有難うございました。


コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.