K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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冬海へ落ちもせざりし千枚田・・・・・・・・・・・・・・・津久井進子
imgcaa63a9dzik1zj冬の白米千枚田
 ↑ 冬の白米千枚田

     冬海へ落ちもせざりし千枚田・・・・・・・・・・・・・・・津久井進子

掲出した句に合わせて「千枚田」の写真を載せる。これは石川県能登の輪島市にある「白米千枚田」のものである。

ここで「白米千枚田」の紹介をしておきたい。ここは輪島市内から東へ車で15分のところ。
104枚の田があるそうである。海原へ向かう斜面に、これだけの田が広がると圧巻である。

wajima_senmaida003水張田の白米千枚田
 ↑ 田植え前の水張田の白米千枚田

imgf97469aazik5zj稔りの白米千枚田
 ↑ 稔りの白米千枚田

千枚田、棚田というのは全国各地にあり、なかでも三重県紀和町の「丸山千枚田」は丸山地区の斜面に2200枚余の田を数える日本でも最大規模の棚田だが、
残念ながら、ここは山に囲まれた山地で海に面していないから、掲出した句には合わないので見送った。

棚田は、土地の有効利用として、斜面に石垣を築いて狭い面積の田を層状に積み上げた、ものすごい手間の要るものである。
米余りの時代になって、かつ農耕の担い手がなくなり、棚田は荒廃する一方であり、今ではボランティアを募って棚田のオーナーになってもらい、
その資金で地元の農家が維持管理するという苦肉の策で運営されているというのが実情である。
棚田協議会のようなものが組織されて、全国的な連携を図ってやられている。

今日は、たまたま千枚田を詠んだ句を引いたので、千枚田のことを先に書いたが、本来は「冬の海」「冬の波」あるいは「寒潮」のことを書くのが主旨であるので、
以下、冬の海のことと、それを詠んだ句を引きたい。
「冬の海」と言えば、暗く、荒涼として、時化ていることが多い。これは主として北国の海のことで、南国の海は冬でも明るく、凪いでいることも多い。
しかし、冬の海と言えば、語感からして、やはり北国の海を連想することが多いだろう。

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↑ 写真は瀬戸内の牛窓の冬の海である。OCEAN2氏の撮られたものである。
借用した御礼を申し上げておきたい。
暗いが凪いだ瀬戸内の冬景色が、よく表れている。
以下、冬の海、冬の波、寒潮を詠んだ句を引いて終る。

 灯台のまたたき長し冬の海・・・・・・・・富安風生

 冬浜に老婆ちぢまりゆきて消ゆ・・・・・・・・西東三鬼

 鷺とんで白を彩とす冬の海・・・・・・・・山口誓子

 冬浜に人現れて消えにけり・・・・・・・・池内たけし

 一望の冬海金粉打ちたしや・・・・・・・・中村草田男

 喪の家に冬海月をあげにけり・・・・・・・・大野林火

 ひとり帰すうしろに夜の冬の海・・・・・・・・篠田悌二郎

 冬の海てらりとあそぶ死も逃げて・・・・・・・・飯田龍太

 一瞬の紅刷き冬の海昏るる・・・・・・・・逸見嘉子

 立ちあがる浪の後の冬の海・・・・・・・・平野吉美

冬波の百千万の皆起伏・・・・・・・・高野素十

 玄海の冬浪を大と見て寝ねき・・・・・・・・山口誓子

 冬の涛あらがふものを怒り搏つ・・・・・・・・富安風生

 冬波をおそれに来しか見に来しか・・・・・・・・谷野予志

 天垂れて冬浪これをもてあそぶ・・・・・・・・木下夕爾

 胸先に冬涛ひかり暮れゆけり・・・・・・・・角川源義

 立ち上りくる冬涛を闇に見し・・・・・・・・清崎敏郎

 冬浪のひかり鴎となりてたつ・・・・・・・・桑原志朗

 寒潮の涛の水玉まろびけり・・・・・・・・飯田蛇笏

 寒潮に少女の赤き櫛が沈む・・・・・・・・秋元不死男

 流人墓地寒潮の日のたかかりき・・・・・・・・石原八束

 冬潮といへどもぬくし岬の果て・・・・・・・・鈴木真砂女

 ただ寒潮灯台チヨークほどに立つ・・・・・・・・保坂春苺


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