K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
201708<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201710
白富士は雲間にふるひたち上る二十一世紀の風の鳴る朝・・・・・・・・・・・・・・藤岡武雄
E586A0E99BAAE5AF8CE5A3ABE5B1B1.jpg

──季節の歌鑑賞──新年の句と歌─(2)

     ■白富士は雲間にふるひたち上る
        二十一世紀の風の鳴る朝・・・・・・・・・・・・・・藤岡武雄


初夢に縁起をかつぐ諺に、一、富士 二、鷹 三、茄子という言葉が、古くからある。
毎年の初夢に、この諺を願っているが、まだ一回も見たことがない。
この歌の作者は、大正15年生まれの人である。
この人は三島に住んでいるようで、夢ではなく、現実の富士山が北側に聳えているという。
春から夏にかけては、毎日のように雲に包まれて、姿を現すことは少ない、という。
富士山が一番よく全姿を現すのは、冬の寒い時期だという。冬に次いでは秋晴れの時だそうだ。
掲出した写真の富士は、どこからの撮影であろうか。
昨年は富士山が他のものと一緒に「世界自然遺産」に登載されて喜ばしいことだった。
その意味からも時節柄ぴったりの歌である。

o0400025410425376892.jpg

     ■何もかも去年(こぞ)のままなる書斎にて
         鉛筆の芯みな天を向く・・・・・・・・・・・・・・・・橋本喜典


「鉛筆」を使わなくなって久しい。
いま鉛筆を常用するのは小学生か中学生くらいのものではないか。
高校生、大学生あたりになると「シャープペンシル」を使うようだ。
この人は、たしか早稲田高校の校長を務めた人だと記憶する。
この人は昭和3年生まれ。
そういう「書斎」派らしく、きれいに削り揃えた鉛筆がペン立に立っているという情景が詠われている。
「何もかも去年のまま」というところに、今さら新年の感慨など、という気概が見てとれる。

middle_1317084067.jpg

      ■元日の夜を清めて降りぬらし
         自転車のサドルに残るうす雪・・・・・・・・・・・・・・沢口芙美


この人は昭和16年生まれの人。国学院大学在学中に、「安保世代の学生歌人」として有名な岸上大作から一方的に好きになられた、という経験の主である。
国学院短歌会系統の「滄短歌会」(代表・中井昌一)の発行人である。

   ■新しき皮靴下ろす元旦のまっさらの陽に対うここちに・・・・・・・・・・・・・・・田村広志

この人も昭和16年生まれである。

   ■百八をこえて鐘の音(ね)なりつづく除夜この寺の山門くぐる・・・・・・・・・・前川佐重郎

この人は有名な歌人・前川佐美雄のご子息で、結社「日本歌人」を継承しておられる。
元NHKの職員であられた。鎌倉に在住であり、「寺」というのは、どこであろうか。

SpamInACan.jpg

     ■新年のメールのなかに救ひの手を
           待つてゐるやうな迷惑メール・・・・・・・・・・・・・・・外塚喬


インターネットの普及とともに無差別送信されるメールは急増した。
マカフィーが2010年4月から6月にかけて調査した結果では、スパムメールの1日あたり配信数は約1750億通とされている。
メール使用者にとって必要な通常のメールよりも、これらスパムがはるかに多く届くといった事態にもなり、大きな社会問題となっている。

対象となるメールや別の呼び方
これらの無差別かつ大量に一括して送信される電子メールのほとんどは広告メールで、「迷惑メール」「ジャンクメール(junk mail)」「バルクメール (bulk mail)」とも呼ばれ、
日本国内においては総務省などの省庁が使う表現に従って「迷惑メール」と呼ぶことが多い。
その大半がアダルト勧誘(ワンクリック詐欺の場合もあり、要注意)のURLが記されている。
コンピュータウイルスやワームの動作で無差別的に発信される電子メールも存在し、「ウイルスメール」と呼ばれる。
このメールに添付されるファイルは、ウイルスそのものである場合が多く、厳重な警戒が必要である。

語源
語源は、缶詰の "SPAM" およびモンティ・パイソンのコントから来ている。
スパムではないメールのことを、スパムに準えて"ham"(ハム)と表現することが多い。多くのアンチスパムソフトウエアでhamという表現が採用されている。

「迷惑メール」には、困ったものである。
私のところには、毎日おびただしい「迷惑メール」が来る。Plalaもyahooも「迷惑メール」として一括してフォルダにまとめてくれるので、まとめて削除する。
このフォルダに収納されたものには、私は目を通さない。だから知人には必ず「サブジェクト」を明記することを求めている。
この歌が、どういう状況を詠っているのか知らないが、私は「救いの手」を待っている、とは思わない。この人は昭和19年生まれ。

    ■同じ人同じ景色ぞいとおしき改まりたる年の初めは・・・・・・・・・・・小塩卓哉

この人は、まだ若い人で昭和35年生まれだという。
この歌の末尾の「改まりたる年の初めは」の部分は「倒置法」になっていて、本来は歌の頭に来るものであり、本来の歌の「結句」は「いとおしき」となる。
これは「いとおし」の「連体形」であり「連体止め」という形である。名前の通り「連体形」であるから後に「体言」が接続するが、それが省略された形である。
「事よ」とか「物よ」とかいう体言=ここでは「名詞」が来る筈のものが省略されているのであり、それによって或る「詠嘆」の趣きを表現している働きである。

E383AFE383BCE38389EFBC92EFBC90EFBC90EFBC93-4.jpg

      ■あらたまのわらべ歳神よく肥えて
           まろまろ笑ふ春の日の中・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・池田はるみ


この人は岡井隆の門下で、昭和23年大阪生まれの目下、陽の当たる歌人である。短歌結社「未来」の選者をなさっている。
「招き猫」ではなくて「開運猫」と書いている。「我が家には気合を入れられた開運猫が玄関に並んでいる」という。

tubono10.jpg

      ■新しきノートにつつしみつつ記す
            一首目は能登の春潮の歌・・・・・・・・・・・・・・・三井修


ここに書かれている「春潮の歌」というのは、同じ能登半島の出身で著名な歌人・坪野哲久の歌

     春潮のあらぶるきけば丘こゆる蝶のつばさもまだつよからず・・・・・・・・・・・・・・坪野哲久

のことを指している。 掲出した画像が、その歌の載る歌集『一樹』(昭和22年刊)である。

この人・三井修は以前にも採り上げたことがある。
結社「塔」所属で、アラビア語専門で、商社の中東駐在員を務めたあと、今は中東専門のシンクタンクに籍を置いている。昭和23年生まれ。短歌結社「塔」選者。
私の第四歌集『嬬恋』の出版記念会で書評をしていただいた。
また私の第二詩集『愛の寓意』の「栞」文を書いていただいた。
その後、私の第五歌集『昭和』の帯文を書いてもらった他、東京で「読む会」を開いてもらった際も万事お世話になった。ここに改めて御礼を申し上げておく。
「能登」のお生まれである。

(ここに引いた歌は、角川書店「短歌」2008年1月号の特集・エッセイ<幸運を呼ぶ>わたしのおまじない に載る文章から)




コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.