K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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老いの愛水のごとくに年新た・・・・・・・・・・・・・・飯田蛇笏
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──季節の一句鑑賞──新年の句と歌─(3)

     ■老いの愛水のごとくに年新た・・・・・・・・・・・・・・飯田蛇笏

老人にも「愛」の感情とか「性」の欲求というものは、あるのである。
掲出の図版は、彦根の井伊家に伝わる能の「菊慈童」の面だが、古来、中国でも日本でも、人々は「老い」を嫌がり、「不老不死」を求めたのだった。
今の時代は、文明国では人々は長生きになり、老人も「性」を貪るらしい。
飯田蛇笏は77歳で亡くなっているが、いまの私は彼の没年を超えた。
彼は、老いの愛は「水のごとく」と詠むが、今の老人がどうかは読者の想像に任せたい。

     ■老とおもひいまだとおもひ年立てり・・・・・・・・・・・・・及川貞

この人は女であるが、自分では「老人」と思うことに抵抗している。

     ■星恋のまたひととせのはじめの夜・・・・・・・・・・・・・・山口誓子

     ■年立つて耳順ぞ何に殉ずべき・・・・・・・・・・・・・・・佐藤鬼房

     ■人死んでまた死んで年新たなり・・・・・・・・・・・・・・・草間時彦

ここに引いたような句は、年頭にあたって「老い」について考察している。
いずれも作者は若くはなく、いわゆる老人と言えるだろう。
「耳順」とは孔子の『論語』にある「六十而耳順」(六十にして耳したがう)が出典であって、年齢の六十歳のことを表す。

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 ↑ 工房でのパブロ・ピカソ

     ■八十の恋や俳句や年の花・・・・・・・・・・・・・・・細見しゆこう

こうなると、「すごいね」と言う他はない。
ピカソは80歳にして何番目かの妻に子を産ませているから不思議ではない。

     ■草の戸にひとり男や花の春・・・・・・・・・・・・・・・村上鬼城

この句などは私のことを言われているのかと思ってしまう。

     ■喜寿の賀を素直にうけて老の春・・・・・・・・・・・・・・・・富安風生

     ■おいらくのほのぼのかなし明の春・・・・・・・・・・・・・・・山口青邨

     ■八つ口をほころばせたり老の春・・・・・・・・・・・・・・・阿波野青畝

俳人たちは、自分の老いをさまざまに描いて感慨に耽っている。
最後に、きれいな、美味な、美しい句を引いて終わりたい。

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     ■明の春はなびら餅にごぼうの香・・・・・・・・・大石洋子

「はなびら餅」は、正式には「葩餅」と書く。
これは、御所ゆかりの菓子だとか、茶道の表千家の「菱葩餅」を菓子化したものだなどのいくつかの説がある。
この餅を貫いている「棒」は、「ごぼう」を棒状にカットして甘く柔らかく煮たもので、微かに牛蒡の香りがする。掲出句は、それを詠んでいる。
私の作品にも第一歌集『茶の四季』(角川書店)に

   呉須の器の藍濃き膚(はだへ)ほてらせて葩餅(はなびらもち)はくれなゐの色・・・・・・・・・・木村草弥

という歌がある。


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