K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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はつとしてわれに返れば満目の草山をわが歩み居り・・・・・・・・・・・・・・・・・若山牧水
1536012枯野

   はつとしてわれに返れば満目の
     冬草山をわが歩み居り・・・・・・・・・・・・・・・・・若山牧水


若山牧水は「酒」と「旅」の詩人だと、よく言われる。確かにそうだったが、彼は今日さかんな観光旅行の旅人ではなかった。
思いつめて旅に飛び出し、山間を歩み、水辺をさまよい、常に何ものかを追いつつ、結局は「放心」の旅であるような、そういう旅をしつづけたように思われる。
「酒」にしても、ただ酒好きというだけではなく、のめり込むように酒を飲んだ人のようである。
心に何かしら満たされぬものを抱きつづけて「生き急いだ」人だったようだ。
この歌にも、そういう牧水が居る。

photo01若山牧水

解題によると、この頃、牧水はまだ若かったが、苦しくてたまらない「恋」をしていたのだった。
この歌は明治44年刊の歌集『路上』に載るものである。
初句の「はつとして」という個所など、何か思いつめて考え事をして周りの景色も目に入らなかった様子が表現されている。

    幾山河越えさり行かば寂しさの終(は)てなむ国ぞ今日も旅ゆく

    けふもまたこころの鉦をうち鳴しうち鳴しつつあくがれて行く

この二つの歌は、掲出歌よりも3年前に出た処女歌集『海の声』に載るものだが、初期の歌集にも、すでに
「寂しさ」に満ちた歌の調子なのである。
牧水の代表作として、よく引用されるのは

    白鳥(しらとり)は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ

    白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり

などである。
牧水は「花鳥諷詠」のような景色を詠むことはしなかった。自分の「心象」にひびくものだけを詠んだと言える。
そして、牧水についてはBLOGにも載せたが、圧倒的に多いのが「酒」にまつわる歌である。
彼は44歳で亡くなっているが、「酒」によって健康を害して医師からも酒を控えるように言われても、なお、意地汚く飲酒から足を洗えない様子が歌にも見てとれる。

     酒やめてかはりになにかたのしめといふ医者がつらに鼻あぐらかけり

というような歌がある。
彼の主宰した短歌結社「創作」は、孫か曾孫かの経営で、今もつづいている。
宮崎県の出身で、それを記念して「若山牧水文学賞」というものが先年創設された。

2010/09に角川書店新書で、俳優の堺雅人と歌人・伊藤一彦による『ぼく、牧水』という本が出た。
私はまだ読んでいないが、探してみてください。

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