K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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立春大吉絵馬堂に墨匂ふ・・・・・・・・・・・・・・・・・岡本菊絵
12_17p4出雲大社「立春大吉」符

   立春大吉絵馬堂に墨匂ふ・・・・・・・・・・・・・・・・・岡本菊絵

「立春」は二十四節気の一つ。暦の上では今日から「春」になる。
まだまだ寒いが、これから「立夏」の前日までの90日間の季節をいう。
これを「九春」という。これは「春九旬(90日間)」のことである。
春は寒暑の移り変わりの時期で、二月は寒く、三月に入って寒暖を繰り返しながら、次第にあたたかくなって、四月に暖かさが定まるということである。


昨日は「節分」だったが、この字の「節」の通り、季節がこの日をもって分かたれるのである。
寒い寒い冬よ早く去れ、春よ来たれ、という「春」が動きはじめ、春の「気持」が用意されてゆく。
写真①は出雲大社の「立春大吉」の吉札である。
この「立春大吉」という字はタテ書きにすると左右対称形になるから縁起がいい、と古代中国の時代から言い慣わされてきたお目出たい字である。

『山の井』という本に「よろづのびらかに豊かなる心を仕立つ」と書かれているように、春の到来を喜ぶ気持が生まれる頃である。
「春」という字は「張る」「発る」が語源だというが、万物発生の明るい季節感を表現したものである。

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写真②は京都市上京区の鶴屋吉信(つるやよしのぶ)の「福ハ内」。
杉の箱に入った「福ハ内」。パッケージをとく前から、とにかく、杉のいい香りで、立春を祝うお菓子。水引が結ばれている。
長さ約6、7センチのお多福豆。
生地は黄身色と焼色が、つるんとして、上品できれいで、中は白餡。うっすらと自然の色がついてる。
豆をかたどった桃山生地のお菓子。
中に、富岡鉄斎の作による「このうまき大多福豆をめしたまへ よはひをますは受合申す」という歌を記した紙が入っている。
「桃山」とは、白餡に卵黄・寒梅粉などを混ぜて煉り、成型し表面を焼くという製法で作られる和菓子。
譬えるなら・・・俵型の栗饅頭をもっと優しくしたような、1904年から作られてるお菓子だそうである。
販売は12月1日~2月3日(節分)まで。
私が買ったのは一番小さい箱 8個入り、1,890円 (日持ち:20日)
私の小学校からの友人のS君の家は旧家で、いつも大晦日に京都に出て、この「福ハ内」のセットをいくつも買い求めて、年始客に振舞うのを習慣にしている。
奥床しい年中行事であることよ。

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写真③は、同じく鶴屋吉信の「追儺」(ついな)という上生菓子セット。
きんとん製の鬼と、薯蕷製お多福。
薯蕷(じょうよ)とは、大和芋、山芋、つくね芋などを指す。
この薯蕷芋を饅頭の皮に用いた蒸し菓子を「薯蕷(じょうよ)」という。 薯蕷(じょうよ)は蒸すとふくらむ性質があるので、出来上がった饅頭の皮は、フワッとした優しい食感に仕上がる。
上用と略されて書かれることがある。
「追儺」は、大晦日の夜、内裏で催されていた祓(はらえ)の行事。
別名、「儺(おにやらい)」とも言い、節分の行事のルーツである。
お多福の下にひいらぎが敷いてあるのは、これも節分にちなむ風習、「焼嗅 やいかがし」からである。
鰯の頭を焼いて柊(ひいらぎ)の枝に刺したものを家の戸口に置くと、異臭で鬼の侵入を防ぎ、ひいらぎの葉の棘が、鬼の目を刺して追い払う、と考えられていた。
鬼のツノは、ごぼうの甘煮で、なんだかちょっと、ユーモラスである。

「立春」という抽象的な概念を表現するのは難しいもので、ならば、こういう季節感を持った具体的な「物」で視覚的に表わした方がいいと考えて、やってみた。
季節や行事を大切にする気持ちとともに、こういうお菓子は毎年楽しみに味わっていきたいものである。

念のために申し上げるが、写真②③に掲げたのは「節分菓子」であり、厳密に言うと、昨日の節分のところに載せるのが本当なのだが、お許しあれ。
いずれにしても「節分」で冬は終り、「立春」から春が始まる。この両者は、切り離しがたく結びついている。


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写真④は日本酒の「立春搾り」という本日限りの限定版である。
日本酒は消費がじりじり減る傾向にあるので、こういう限定版の商品を発売して何とか売り上げを伸ばしたいという涙ぐましい努力である。
おかげで、こういう限定ものは、よく売れているらしい。インターネット上でも、いくつかの銘柄の立春酒が見られる。
昨年秋からの日本酒の仕込みも今が最盛期で、「蔵出し」の原酒などはおいしいものである。
左党ならぬ私なんかも美味だと思う。

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この酒のラベルは今年の「暦」の図柄になっていて、瓶には「立春朝搾り」のシールを斜めに貼ってある。
予約販売である。このような趣向は、あちこちのメーカーが同じように採用している。

写真⑥は「白椿」である。
以下、「立春」を詠んだ句を引いて終わる。

 寝ごころやいづちともなく春は来ぬ・・・・・・・・与謝蕪村

 春立つや愚の上に又愚にかへる・・・・・・・・小林一茶

t-konoesiro近衛白(関西)

 雨の中に立春大吉の光りあり・・・・・・・・高浜虚子

 さざ波は立春の譜をひろげたり・・・・・・・・渡辺水巴

 立春や一株の雪能登にあり・・・・・・・・前田普羅

 かかる夜の雨に春立つ谷明り・・・・・・・・原石鼎

 山鴉春立つ空に乱れけり・・・・・・・・内田百閒

 春立つと拭ふ地球儀みづいろに・・・・・・・・山口青邨

 冬よりも小さき春の来るらし・・・・・・・・相生垣瓜人

 春立ちて三日嵐に鉄を鋳る・・・・・・・・中村草田男

 立春の米こぼれをり葛西橋・・・・・・・・石田波郷

 春が来て電柱の体鳴りこもる・・・・・・・・西東三鬼

 立春のどこも動かず仔鹿立つ・・・・・・・・秋元不死男

 立春の雪のふかさよ手鞠唄・・・・・・・・石橋秀野

 人中に春立つ金髪乙女ゆき・・・・・・・・野沢節子

 立春の鶏絵馬堂に歩み入る・・・・・・・・佐野美智

 立春のぶつかり合ひて水急ぐ・・・・・・・・会田保

 畳目の大きく見えて春立つ日・・・・・・・・八田和子


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