K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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いのち噴く季の木ぐさのささやきをききてねむり合ふ野の仏たち・・・・・・・・・・・・・・・生方たつゑ
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    いのち噴く季(とき)の木ぐさのささやきを
         ききてねむり合ふ野の仏たち・・・・・・・・・・・・・・・生方たつゑ


冬の間の固い殻を破って、さまざまな木草が新たな命を噴きあげる春。
それを作者は「いのち噴く季」と表現する。
目覚めたのち、ささやき合う木草。その傍らに野仏が、風化して目鼻も定かでない顔だちで、うつらうつらと眠っている。
路傍に野仏をたてた昔の人は、悲しみや祈りをこめて石仏に手を合わせたことだろう。
野仏はそれらの時間を、すべて閉じ込めて、じっと動かずに立っている。
そこには、時の移ろいと、時の停止を同時に語るものがある。

この歌は生方たつゑさんの歌集『風化暦』(昭和49年刊)にあるもの。2000年1月18日に亡くなったが、歌集だけでも20冊に及ぶ。
少し歌を引用してみる。

  草の汁浸みてこはばる手をひたす清きまみづを犯すがごとく

  紅絹(もみ)裂けば紅絹のあやしさにほひ充つ透きとほるまでの嫉妬をもてば

  「平凡に生きよ」と母が言ひしこと朱の人参刻めば恋ふる

  北を指すものらよなべてかなしきにわれは狂はぬ磁石をもてり

  かかる夜ひそかに隕石の墜ちゐむかみづうみ濡らす冬の月かげ

  潮のいろ美しきかな痣のごとき珊瑚礁あるを原点として

  結氷の季も生きゐる魚(いを)のこと羨望しつつ雪の夜点(とも)す

作者は三重県宇治山田(今の伊勢市)生まれの人。「女人短歌」結成に参加した才媛。
家庭的にも育ちのよい境遇の人で、大らかな、女らしい情感のある歌を残す。

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私の住む南山城や奈良盆地は、大陸や朝鮮半島からの渡来人が、早くから住みついて、かの地の先進的な文化をもたらした。
掲出した写真のような野仏も多い。
こういう風物も、すっかり影をひそめて来たが、先人たちの、こういう自然に対する畏敬の念は尊っとんでゆきたいものである。

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