K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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雛の唇紅ぬるるまま幾世経し・・・・・・・・・・・山口青邨
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   雛の唇(くち)紅ぬるるまま幾世経し・・・・・・・・・・・山口青邨

雛祭は、もともとは旧暦の三月三日であったから、桃の花が麗しく咲き誇る季節であり、桃の花や白酒、菱餅などが供えられた。
九州の柳川では、この時期には「川くだり」の舟の中から見られるように家々が雛壇を飾るのが恒例である。
なお、男雛と女雛の置き位置が、京都と東京では逆であると言われる。調べられたい

今は太陽暦の新暦で祭るから植物的には違和感がある。
今でも女の子の居る家では「おひなさま」を飾るが、家の広さに制限があり、簡単な飾りで済ますところも多いらしい。
だから昔ほど、おひなさまを囲んでという光景は薄れたと言えようか。

雛祭の古い句としては

  とぼし灯の用意や雛の台所・・・・・・・・加賀千代女  

  雛祭る都はづれや桃の月・・・・・・・・与謝蕪村

  蝋燭のにほふ雛(ひひな)の雨夜かな・・・・・・・・加舎白雄

などが挙げられよう。
近代以後の句も歳時記にはたくさん載っているので、いくつか引いておく。
「雛」の字の読み方としては、前後の音数の関係から「ひな」と訓んだり「ひひな」と訓んだり区別する。

  いきいきとほそ目かがやく雛(ひひな)かな・・・・・・・・飯田蛇笏

  箱を出て初雛のまま照りたまふ・・・・・・・・渡辺水巴

  鎌倉の松風さむき雛かな・・・・・・・・久保田万太郎

  かんばせのひびのかなしき雛かな・・・・・・・・野村喜舟

  函を出てより添ふ雛の御契り・・・・・・・・杉田久女

  老いてこそなほなつかしや雛飾る・・・・・・・・及川貞

  雛の座を起つにも齢の骨鳴りて・・・・・・・・石川桂郎

  初雛の大き過ぎるを贈りけり・・・・・・・・草間時彦

  男(を)の雛の黛(まゆずみ)暈(かさ)をもちたまふ・・・・・・・・後藤夜半

  雛まつり薬缶も笛の音色して・・・・・・・・成田千空

  ひとり居の雛とぢこめて出勤す・・・・・・・・菖蒲あや

  木に彫つて寧楽七色の雛かな・・・・・・・・飴山實

  日の高きうちより点し雛の燭・・・・・・・・片山由美子

  灯すもの灯して寂か雛の間・・・・・・・・浜崎浜子

  雛壇を奥の一間に鮮魚店・・・・・・・・中間秀幸
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山口青邨は東京帝大工科採鉱学科卒で、のち母校の教授になるという経歴の持ち主。ホトトギス門下の逸材で、いわゆる「四S時代」の提唱者として知られる。
因みに、「四S」とは、東の秋桜子、素十。西の誓子、青畝を指す。

掲出の青邨の句は、雛祭の、雛出しの情景を彷彿とさせる佳い句である。
今の時期の青邨の句としては、

  本を読む菜の花明り本を読む

  啓蟄の蚯蚓の紅のすきとほる

  春の海一重の藪をもてへだつ

  白梅を怒涛と見れば日暮れたり

  森の中噴井は夜もかくあらむ

などの句が私は好きである。




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