FC2ブログ
K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
201911<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>202001
連翹の花にとどろくむなぞこに浄く不断のわが泉あり・・・・・・・・・・・・・・・・・山田あき
H11-PCD1116-014m山田あき

  連翹の花にとどろくむなぞこに
    浄(きよ)く不断のわが泉あり・・・・・・・・・・・・・・・・・山田あき


昨日、坪野哲久の歌を採りあげたので、その夫人である山田あきの歌をここで挙げてみたい。
いま気づいたのだが、哲久とあきは、あきの方が六つ年上である。
哲久、あき共に先年亡くなった。
二人は同じ文学的志を共有した夫婦で、終生かわることがなかった。
掲出の歌も連翹の花に言寄せながら、胸底に「浄く」湧き上がる「不断の」わが泉がある、という揚言である。
こういう勁い意思表示の出来る歌人は、そう居ない。

掲出した写真は、この歌を自筆した彼女の色紙である。彼女自身も、この歌が好きであったことが判る。

少し彼女の歌を引用してみよう。いずれも生前「自選アンソロジー」に収録されたものである。

 戦に子を死なしめてめざめたる母の命を否定してみよ

 すがすがと秋の古巣を落し去る蜂の集団われにまされり
 
 寒の鮒笊にみじろぎ光発(た)つかくしも冴ゆる命あるものよ

 みずからの選択重し貧病苦弾圧苦などわが財として

 縛されてきみ若かりし指先に茫々とあそぶ今日の煙草火

 古史伏せて声哭くものをきかんとすみじめに過ぎき人類の母

 新しき世紀をよぶは誰ならん拈華(ねんげ)微笑(みしょう)のアジアびとあり

 夜を徹し規(ただ)しあいたる若き日の一途は過ぎぬ黒き渦朱き渦

 原初くらく文字無き国の裔(すえ)われら漢字一字のめぐみ忘れず

 捨身飼虎この語のひびき聴くのみに魂ふるえつつ終らむおそれ

 一握の塩を出し合う誠あらばこの世明るくまた進むべし

 大いなる歴史を見よやうつくしく興るものあり滅び去るあり

---------------------------------------------------------------------
夫・坪野哲久とともに夫人の山田あきも「述志」の歌人と言えよう。最近は、こういう述志の歌人は、ほとんど居なくなった。
ここに引用した歌を見れば判るように、終始一貫して、戦前は侵略戦争に、戦後は原爆反対や、戦前の中国をはじめとするアジア人への残虐な日本の仕打ちへの謝罪など、首尾一貫した生を生きた夫婦である。



コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
copyright © 2019 Powered By FC2ブログ allrights reserved.