K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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星乃 真呂夢「千年の哀歌」第30回國民文化祭 現代詩の祭典・ 文部科学大臣賞受賞作 ・・・・・・・・・・・木村草弥
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↑ 星乃真呂夢さん 2016新年を迎えて 能舞台で (FBから転載)

     星乃 真呂夢「千年の哀歌」第30回國民文化祭 現代詩の祭典・ 文部科学大臣賞受賞作 ・・・・・・・・・・・木村草弥

        千年の哀歌     星乃真呂夢

     老いに しずかに雪の降る
      父の老いという時間に
      しずかに やさしく雪が降る

     夏なのに なぜ こんなに雪が降るのだろ う

      96歳の父は 遠い目をしてつぶやいた
      父には たぶん 見えていたのだ
      とめどなく 舞い降りてくるものが

     70年前のあの日
      沈まないといわれた航空母艦が
     南洋の海に 消えたあの日
      寝食を共にした戦友たちが
     次々と大きな渦に呑み込まれていく
     「おかあさん おとうさん......」
      声だけが 何もない水面に響いていた

     お父さんは 生き残ってしまったからな
      草むしりを 休みなく続けながら
      父は 何かを刈り取っていた
     庭に 日々水を撒きながら
      父は 何かを鎮めていた

     父のたましいの深いところに
      語れない静けさがあり
     それ故 父は 笑うことを好んだ
     父のたましいの深いところに
     語れない怒りがあり
     それ故 父は 季節ごとの花を愛でた
     晩年は特に 桜の花を こよなく愛した
     若き日 水兵さんだった頃の
     消えない嗚咽のようなもの
     それら すべてを一年に一度
     透き通るさくら色にして
      さくらの花は咲ききる
      父の中の すべての名状しがたいものを
      さくら色の花びらのかたちにして
     力強く ひらく
      願いのように 祈りのように
      消えてしまった ひとりひとりを超えて
      いのち全体を 映して
      満開になっていくさくらの樹々よ

     さくらの花びらは雪に似ているな
     夏のある日 父は言った
      人間の愚かさに 人間のはかなさに
     雪と さくらが
      重なり合い どんどん透き通り
     父のなかで降り積んでいるらしい

     ある夏の暑い日 父は肺炎で逝った
      レントゲン写真の父の肺には
      真っ白な雪とも花びらともいえない斑 点が
      振り積み 振り積み
     咳き込みながらも
     しずかに おだやかに
     それでも笑って 父は逝った
      雪と さくら 見えない祈りのなかへ      
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星乃 真呂夢さんは、私の第六歌集『無冠の馬』評を月刊詩誌「詩と思想」2015年10月号で執筆していただいた。
星乃 真呂夢さんのことは何も分からなかったのだが、同氏もFBをやっておられることが今日わかって、そのページを拝見した。
山梨県甲府市にお住まいのようである。
画像として出しておいたが、星乃さんは「第30回国民文化祭・かごしま2015現代詩の祭典in南九州市」の一般の部で、最高賞の文部科学大臣賞を受賞された。
受賞作「千年の哀歌」をFBから転載しておく。
お父上のことを詠みながら、現代に生きるわれわれに考えるべき重いものを提示する。 しみじみと味わいたい。
星乃氏はFBの自己紹介によると「著述業、詩人、エッセイスト。能楽、能や狂言の名人へのインタビュー」と書かれている。
佳い詩を読ませていただいた。 感謝申し上げる。





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大根の花 について
取り上げていただき
ちょっととまどいましたが
これら一連のフェイスブックの詩歌は

ほとんど
即興詩の日常雑記ともスケッチやクロッキーにあたるもの。
フォトがあり、成立するライト感覚なもので

わたしは詩としては書いておりません。

これは、写真やフェイスブックの友人に近況を知らせる短文詩のような感じのもの。

新たなこの形式のものに自ら
なにか命名しなければならないとかんがえております。

デジタル ショート
フォト 詞章
くらいのライトなかんかくです。
2016/02/28(日) 09:38:35 | URL | 星乃真呂夢 #- [ 編集 ]
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