K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
201709<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201711
村島典子の歌「冬の日」34首・・・・・・・・・・・・木村草弥
晶_NEW

──村島典子の歌──(26)

     村島典子の歌「冬の日」34首・・・・・・・・・・・・木村草弥
                  ・・・・・「晶」93号2016/03所載・・・・・・・

       冬の日         村島典子

  雨を呼ぶわれであるらし雨つれて時計回りの琵琶湖周遊

  湖の西ゆきゆくわれら比良をすぎ伊吹嶺めざす鬨の声あげ

  左岸より湖めぐりゆく半日の旅ぞ北指すころに伊吹嶺

  過去より未来へ列車よぎるか未来から過去世へゆくか曖昧ならむ

  生れかはり死にかはりせむわたくしを乗せて鈍行列車はい行く

  切り離されて敦賀へむかふ四輌の列車ここよりわれは旅人

  各停のドアー出で入る風のありわれら旅人霜月まひる

  手動ドアの珍しきかなヒラケゴマと釦を押して一人降りたり

  川いくつ湖へそそげる霜月の雨のみづうみ膨らむごとし

            *

  けさ秋は澄明なればわがからだ青一色に染まりゆくなり

  腫ればれと咲いてゐたのだアキノノゲシ然りげなきこと今日の歓び

  街上に死者とわたしと行きあへりあをあをと冬のそら澄めるころ

  われはいま冴えわたるらし矩形の窓辺をよぎる囁きを聴く

  深きねむりの奥にて鳴きしものの声近づき来たり犬となるまで

  乳母車に乗せゐるものは赤子、否、わが老耄の犬にさうらふ

  乳母車に乗せゐるものは犬なれば長き耳あり尻尾をもてり

  むくつけき狼などではありません赤頭巾のお祖母さんです

  乳母車に乗せて廻れば犬すらや極楽ごくらくと呟くごとし

  雨乞ひの地蔵のまへに畏まりわが犬のわれお辞儀をなせり

  床下にもぐり匍匐前進す夢のなかにてトイレを探す

  朝まだきわれは籠りて神様を呼び出したりトイレの神様

  たまはりし水菜辛子菜むらさきの葉先をもてり刃物のやうな

  むらさき色の辛子菜を湯に放つときアントシアニンすなはち出づる

  タネ屋にて購ひし種にてむらさきの不可思議な菜の育ちしといふ

  しやきしやきと歯のたつる音冬の日の夕餉のわれの菜を食める音

  柚子の種酒にひたして皹のわが手の指になじませむとす

  目と耳といづれ残らむこれの世のまぼろしとして耳目養ふ

  おほどしの辺りあたりに満つるをこゑ擦るるまでの魍魎のこゑ

  森岡貞香よみつつおもふキリストの誕生会の朝の少女聖歌隊

  階段下り犬抱きにゆく夜よるをわれはもこの世の人にあらずや

  鳥すらやく急くことのある暮れはてて水菜あらふと庭に出できつ

  熱々の牡蠣を食べよと備長の炭運びくるおほつごもりに

  焼かれつつ苦しき牡蠣は炭の上に口わひらけり食べられむとす

  窓ガラス掠めゆくものま青なる空へ飛び去り離れゆくもの
------------------------------------------------------------------------------
いつもながらの村島さんの作品である。
今回は秋から冬への身辺を詠われた。
ご恵贈に感謝して、ご披露するものである。





コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.