K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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食卓に置きたる壺の山吹はるにまかせつ黄の濃き花びら・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
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   食卓に置きたる壺の山吹は
    散るにまかせつ黄の濃き花びら・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥


この歌は私の第一歌集『茶の四季』(角川書店)に載るものである。

030409t井手の山吹
山吹の花は太田道灌の逸話などで有名だが、写真②は私の住む隣町の井手の玉川の山吹である。
これは聖武天皇の義弟の橘諸兄がここに住むようになって山吹を愛でて植えさせたという故事に因む。
写真②では桜の花と一緒に咲いているのが判るが、山吹の種類や場所によっては遅速があるようである。

yamabuki04松尾大社ヤマブキ
写真③は、ここも山吹の名所として有名な松尾大社の花である。水路があって回廊の橋から撮ったもの。

山吹には一重と八重の両方がある。
私の家の山吹は八重であり、今が丁度みごろである。
山吹はせいぜい高さが1メートルくらいの木であり、単独で存在を示すというものではなく、他の大きい木に寄り添う形で存在する、控えめな木であると言える。

hitoeyoko1山吹一重
写真④は一重の山吹である。
先に書いた太田道灌の故事だが、それは花は咲いても実がならないという山吹の性質に由来する。
その問題の兼明親王の歌をお見せする。

   七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき

というものである。「実の」は「蓑」に掛け合わせてあるのである。

万葉集巻10歌番号1860の「よみ人しらず」の歌にも

   花咲きて実はならずとも長き日に思ほゆるかも山吹の花

とあるように、同じ趣旨の歌は、いくつもあるようである。
というより兼明親王は、この万葉集の古歌を知っていて、本歌どりで作られたのであろうか。
時代的には、そうなる。

一番に掲出の写真は八重の山吹である。

図鑑によると山吹は日本原産だという。
・薔薇(ばら)科。
・学名 Kerria japonica
Kerria : ヤマブキ属
japonica : 日本の
Kerria(ケリア)は、19世紀のイギリスの植物学者「Kerr さん」の 名前にちなむ。

この八重ヤマブキは実がならないという。では、一重ヤマブキは実がなるのかというと、私の読んだ本には、そのことは何も書いていない。
古来、多くの句が詠まれてきたので、それらを引いて終りたい。

 山吹や宇治の焙炉の匂ふ時・・・・・・・・松尾芭蕉

 山吹にぶらりと牛のふぐりかな・・・・・・・・小林一茶

 山吹や小鮒入れたる桶に散る・・・・・・・・正岡子規

 蕎麦すする夕山吹のなつかしき・・・・・・・・渡辺水巴

 山吹の中に傾く万座径・・・・・・・・前田普羅

 あるじよりかな女が見たし濃山吹・・・・・・・・原石鼎

 濃山吹俄かに天のくらき時・・・・・・・・川端茅舎

 山吹の黄の鮮らしや一夜寝し・・・・・・・・橋本多佳子

 やすらかに死ねさうな日や濃山吹・・・・・・・・草間時彦

 わがいのち知らぬ我かも濃山吹・・・・・・・・原コウ子

 山吹や酒断ちの日のつづきをり・・・・・・・・秋元不死男

 山吹や庭うちにして道祖神・・・・・・・・石川桂郎

 山吹の黄金とみどり空海忌・・・・・・・・森澄雄

 山吹の真昼を伎芸天伏し目・・・・・・・・井沢正江

 童女とて愁ひ顔よき濃山吹・・・・・・・・倉橋羊村

 山吹や家ふかきより老のこゑ・・・・・・・・宇佐美魚目

 沢蟹の水へしだるる濃山吹・・・・・・・・市川つね子



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