K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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ひっそりと卯の花匂う露地を来て今は秘密とするものもなく・・・・・・・・・・・・・・・・鳥海昭子
unohana2卯の花

   ひっそりと卯の花匂う露地を来て
     今は秘密とするものもなく・・・・・・・・・・・・・・・・鳥海昭子


「卯の花」は「ウツギ」のことである。
昔の文部省唱歌に

  <卯の花の匂う垣根にほととぎす早も来なきて忍び音もらす夏は来ぬ>

というのがあり、子供の頃から、この植物の名前は知っていた。
花言葉は「秘密」という。
鳥海昭子さんの歌は、この花言葉を巧みに取り入れて詠われている。
この歌に添えた作者のコメントには

    <年を重ねると隠し事も少なくなるものですね。>

とある。

この花は万葉集には24首に登場するという。その多くが、霍公鳥(ほととぎす)とセットで詠まれている。
ここから、先に書いた文部省唱歌の「卯の花の匂う垣根にホトトギス早も来鳴きて・・・」という歌が生まれてくるのであった。
この詩の作詞者は、佐佐木信綱である。

万葉集の大歌人・大伴家持の歌に

  卯の花のともにし鳴けば霍公鳥いやめづらしも名告り鳴くなへ(歌番号4091)

というのが知られている。
さらに時代がすすんで『古今和歌集』を経て俳諧の世界にも引き継がれ、芭蕉の『奥の細道』の「白河の関」の章には、旅中の点描として使われている。
陰暦4月の「卯月」は卯の花の咲く月という認識である。「卯の花腐し」「卯の花月夜」などの季語にも登場する。

unohana08卯の花接写

以下、この花を詠んだ句を引いて終わる。

 押しあうて又卯の花の咲きこぼれ・・・・・・・・・・・・正岡子規

 顔入れて馬も涼しや花卯木・・・・・・・・・・・・前田普羅

 卯の花の夕べの道の谷へ落つ・・・・・・・・・・・・臼田亜浪

 花うつぎみごもることをひた惵(おそ)れ・・・・・・・・・・・・安住敦

 卯の花に用無くて人訪ねたり・・・・・・・・・・・・橋間石

 かすみつつこころ山ゆく花うつぎ・・・・・・・・・・・・飯田龍太

 卯の花を高野に見ては涙ぐむ・・・・・・・・・・・・沢木欣一

 卯の花に雨のはげしくなるもよし・・・・・・・・・・・・細見綾子

 前(さき)の世もかく散り敷きし卯の花か・・・・・・・・・・・・中村苑子

 卯の花や流れは鍬を冷しつつ・・・・・・・・・・・・飴山実

 卯の花に豪雨吹くなり鮎の淵・・・・・・・・・・・・橋本鶏二

 卯の花や一握となる洗ひ髪・・・・・・・・・・・・鷲谷七菜子

 ところどころの卯の花に触れてゆく・・・・・・・・・・・・岡井省二

 卯の花の月夜の声は室生人・・・・・・・・・・・・大峯あきら

 谷咲きの初の卯の花機神に・・・・・・・・・・・・神尾久美子

 卯の花へ鎮まる雨の白さかな・・・・・・・・・・・・藤本映湖


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