K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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無防備にまどろむ君よスカラベがをみなの肌にとどまる真昼・・・・・・・・木村草弥
sukarabe_se.jpg
mus150スカラベ護符レプリカ

     無防備にまどろむ君よスカラベが
        をみなの肌にとどまる真昼・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥


この歌は私の第四歌集『嬬恋』(角川書店)に載るものである。自選にも採っているのでWebのHPでもご覧いただける。

この歌では私はスカラベのペンダントをつけた「君」が夏の真昼を、まどろんでいるのを描いたのだが、本来の「スカラベ」というのは、甲虫の「フンコロガシ」のことである。
写真①は古代エジプトで崇拝された「スカラベの護符」のレプリカであり、いま土産物として手に入るもの。

volt01切手オートヴォルタ
 ↑ 写真②はオートヴォルタという国で1981年に発行された「フンコロガシ」の切手である。
この虫は日本には居ないが、世界各地には棲息していて、有名なファーブルの「昆虫記」に出てくるもので、正式には「タマオシコガネ」という名前である。
古代エジプトでは、この虫を「スカラベ」と呼んだ。

写真③は「昆虫記」の著者ジャン・アンリ・ファーブルである。
fabreファーブル

古代エジプトでは、糞玉をころがすスカラベを見て、日輪の回転を司るケペラ神の化身とみなした。世界的にも神格を与えられた昆虫は珍しいが、スカラベは、その最初の昆虫ということになる。
かくして、古代エジプトでは、スカラベを創造、復活、不死のシンボルとして崇め、四千年も前からスカラベの護符や装飾品で飾ったのである。
有名なツタンカーメンの墓からも、このスカラベの護符が「カルトゥーシュ」という「囲み枠」の中に絵文字の名前入りで造られている。他の王や女王、王妃などすべて、そうである。古代エジプトの絵文字は解読されていて、発掘された墳墓や彫刻などが、誰であるかが同定されているが、それは、この「カルトゥーシュ」という囲み枠に刻まれている名を解読すれば、すべて判るからである。

↓ 写真④はフランスで1956年に発行された切手で、ファーブルが糞ころがしタマオシコガネを虫めがねで観察している姿を描いてある。
fr11切手フランス

ネット上では糞ころがしを絵柄にした切手が世界各地で発行されているのを見ることが出来る。
オーストラリアでは「スカラベ」というと、この糞ころがしのことを指すらしい。
先に日本には糞ころがしは居ないと書いたが、それは日本には丸い糞玉にするような適当な固さの糞をする獣が居なかったことに原因があるだろう。牛の糞や人糞などはベタベタしているから、玉になりにくいだろう。

7321センチコガネ

 ↑ 写真⑤に日本にいる同種の甲虫の写真を出すが、この虫は「センチコガネ」という名のつくもので、大きさ2センチくらいのもので、センチという便所を意味する名の通り糞便を分解する虫だが、糞玉は作らない。「センチ」とは漢語で「賤地」のことである。
汚らしい話題になって申し訳ない。説明しかけると、こうなってしまうのである。

夏の季語である「こがねむし」黄金虫を詠んだ句を引いて終わりたい。金亀子とも書く。

 モナリザに仮死いつまでもこがね虫・・・・・・・・西東三鬼

 金亀子擲つ闇の深さかな・・・・・・・・高浜虚子

 恋捨つるごと金亀子窓より捨つ・・・・・・・・安住敦

 病めるわが胸より金亀子はがす・・・・・・・・加倉井秋を

 黄金虫雲光りては暮れゆけり・・・・・・・・角川源義

 死にて生きてかなぶんぶんが高く去る・・・・・・・・平畑静塔

 ぶんぶんに玻璃くろがねの関なすや・・・・・・・・・石塚友二

 金亀虫琵琶のおもてを打撙す・・・・・・・・佐野まもる
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少し余談を書いておく。
糞ころがしのことだが、この虫の作る糞玉は固くても、柔らかすぎても玉にならないらしい。
だから、この虫は山羊などの小さくて、固くて、コロコロしている糞は、苦手だと、ものの本に書いてある。
この虫が、なぜ糞玉を作って巣へ運ぶかというと、巣に帰ったら、この糞玉の中に卵を産むのである。
孵った幼虫は、この糞玉を食べて成長するという段取りである。
適当な固さで、というところに、虫と言えども「こだわり」があるのである。
何事も「こだわり」が大切らしい。では、また。




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