K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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黒猫が狭庭をよぎる夕べにてチベットの「死の書」を読み始む・・・・・・木村草弥
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    黒猫が狭庭をよぎる夕べにて
      チベットの「死の書」を読み始む・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥


この歌は私の第二歌集『嘉木』(角川書店)に載るものである。自選にも採っているのでWebのHPでもご覧いただける。
この歌自体は季節に関係はないが、「死の書」というので、ちょうど秋の彼岸も過ぎたことなので季節の歌と受け取ってもらっても構わない。

430976018X.09.LZZZZZZZエジプト死者の書

関連はないが、同じ「死者の書」(ウォリス・バッジ著)というのが古代エジプトにも存在した。
写真②が、それであるが、チベットにおける「死者の書」の扱いと同じようなことをしたらしい。

チベットの「死者の書」はいくつかのヴァージョンがあるらしいが、説くところは同じである。
チベットでは宗派を問わず、一般に「死者の書」という経典を臨終を迎えた人の枕元でラマ僧が読む習慣がある。
死者がこの世に執着しないように肉親、親類は遠ざけられる。
その経典には、死者が死後に出会う光景と、その対処法が書かれている。
この本の「曼荼羅」に現れる神々は男女交合の姿で描かれるという。(写真③)

yabマンダラ交合図

青い仏に抱きつくようにして交合している髪の長い、白い体の女の姿が見えるだろう。女は「口づけ」しているようだ。
これは歓喜仏(ヤブユム)と呼ばれているが、これは神々の合体の姿の中に、究極的な境地の至福の状態である「大楽」が保持されているからだという。
日本に伝えられた仏教の「理趣経」がそれに当るが、これこそ密教の最も密教的な部分である。
日本では「聖天」さんとして祀られているところで見られる。

死者は49日間バルドゥと呼ばれる生の中間的な状態に留まるが、その間に死者は、死の瞬間に眩しく輝く光を体験する。
最初の一週間で死者は平和の様相の神々の、次の一週間で怒り狂った神々の来迎や襲撃を受け、遂には閻魔大王の前に引き出され、人によっては灼熱地獄に投げ込まれたりする。
そして死者は、それぞれのカルマに従い、六つの世界のいずれかに再誕生してゆく。

今日、仏教(場合によっては「神道」も、これらの影響を受けているという)の色々の行事──たとえば、四十九日の忌明、満中陰の決まりなどは上に書いたバルドゥの考えそのものである。「生れ変り」「輪廻転生」などの考え方も、上に書いたことの表れである。また「地獄、極楽」あるいは「エンマ様」のことなど、われわれ仏教徒が子供の頃から親に言われてきたことを思い出せば、よくお判りいただけよう。
こういう俗事はわかり易いが、哲学的にいうと、深い思想を含んでいると言われている。
哲学者の浅田彰氏の本など、結構むつかしいものである。
写真④の歓喜仏は1900年頃チベットで作られたと思われる金銅製のもので高さ15センチくらいの小さいもの。
00892side1歓喜仏1900頃

このような「歓喜仏」はチベット特有のものではなく、ヒンドゥー教には古くからあるものである。
北インドのカジュラホに行くと、寺院の外壁一杯にレリーフが大小さまざまの交合スタイルで彫刻されている。ズームカメラがあれば鮮明な写真を撮ることが出来る。

kan9ガネーシャ歓喜仏宮城県

写真⑤はガネーシャという象の頭の格好をした神の歓喜仏である。
このようなスタイルは珍しいが、インドはヒンドゥー教が主流を占める国である。
ヒンドゥー教は多神教で、一神教のような「禁忌」は殆ど、ない。
ガネーシャというのは主神シヴァ神の子供だが、父親の言いつけに背いて罰をうけ、このような象の頭に首をすげ替えられた。
ガネーシャに組み敷かれた女の表情も、むしろ嬉しそうで、エクスタシーの境地にあり、ガネーシャの首に手を廻しているほどである。 
書き遅れたが、この像は宮城県のお寺にあるという。
こういう性に関する大らかさが特徴であると言えるだろう。
余談になるが、インドに行くと、このガネーシャ神を祀った寺院がある。
どうも、このガネーシャは金儲けの神様でもあるらしく、お金持ちの事業家が金ピカの大きな寺院を喜捨して建てているのである。


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