K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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添水鳴る遠ざかり来てあきらかに・・・・・・・・清崎敏郎
492-shishiodoshi鹿おどし

     添水鳴る遠ざかり来てあきらかに・・・・・・・・・・・・・清崎敏郎

「添水」(そうづ)はまたの名を「猪おどし」シシオドシとも言う。
竹筒の中央に支点を作り、一方を削って水が溜まるようにした装置である。
水が溜まって重くなると竹が下がり水が流れ出て軽くなり、はねあがる。
すると、他端が急に下がり、石や金属を打って、コンと音を発する。
この音により山田を荒らす鳥獣を驚かして追い払う、という仕掛けである。
それから派生して、庭園などに設けて、流水を利用して、音を楽しむようにしたものである。
写真は、庭園にしつらえたものである。
添水というのは、字義からいうと「走り水」に添う、つまり「水路」のことから派生したものであろう。
水を引いて来て、その水を利用して「威し」の仕掛けを作る。

玄賓僧都が

    山田守るそほづの身こそあはれなれ秋果てぬれば訪ふ人もなし

と詠んだのが本意と言われている。
九州では兎鼓とか左近太郎とか呼ばれ、山口では「さこんた」とも言い、また訛って「迫の太郎」とも言われていたという。
水による、しゃれた動物おどしだが、実用には、ほど遠い音だと言える。

こういう音の威しの他に、「添水唐臼」といって、杵を仕掛け、米や稗を搗くものがある。
「水車」の類と言えば判りやすいだろう。

以下、添水を詠んだ句を引いて終る。

 ぎいと鳴る三つの添水の遅速かな・・・・・・・・河東碧梧桐

 ばつたんこ水余さずに吐きにけり・・・・・・・・茨木和生

 ばつたんこまた山の水受け始む・・・・・・・・朝妻力 

 添水かけて木々からびゆく響かな・・・・・・・・大須賀乙字

 添水鳴ると気のつきしより添水鳴る・・・・・・・・西山誠

 闇ふかく添水は己が音を待つ・・・・・・・・有働亨

 京鹿の子咲くと添水のはずみけり・・・・・・・・佐野青陽人

 闇中に声あるものは添水かな・・・・・・・・山中北渚

 ふるさとや添水かけたる道の端・・・・・・・・吉田冬葉

 あれ聞けと尼のかけたる添水かな・・・・・・・・前川舟居

 詩仙堂花なき庭の添水かな・・・・・・・・貞永金市

 失ひし時の重さに添水鳴る・・・・・・・・高橋謙次郎

 手に掬ふ添水に音を生みし水・・・・・・・・大岳水一路

 ばつたんこ法鼓のごとくこだませり・・・・・・・・山本洋子

 次の音自づと待たるばつたんこ・・・・・・・・脇坂豊子

 落柿舎の静けさとまる添水かな・・・・・・・・荒木千都江


短歌に詠まれるものを見つけるのが難しいのだが、こんな歌をひとつ見つけた。

  竹叢に淡く日の射す寺の庭思はぬ方に添水の音す・・・・・・・・・・・・・・神作光一 『未来都市』02年より



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