
──高田敏子の詩──(15)再掲載・初出Doblog2005/10/22
夕日・・・・・・・・・・高田敏子
すすきの穂のまねく
秋の道
まねかれ
歩みつづけて
岬のはずれまで来てしまった
もう先へは行きようもないけれど
ひろがる海はおだやかで
やさしい小舟を浮かばせている
水平線もはっきり見えて
海上近くに落ちかかる
夕日の赤
あれは ほおずきの赤
風車の赤
柿の実の赤
糸につるした折鶴の赤の色
夕日は刻々海に近づいて
円のはしが
水平線に接したと思うと
刻々の 時の早さを見せて
沈んでいった
沈みきったあとも
私はまだ 赤の色を追っている
母が髪に結んでくれたリボンの
赤の色も思い出され
(詩集『こぶしの花』1981年花神社刊より)
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