K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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村島典子の歌「星の林」30首・・・・・・・・・木村草弥
晶_NEW

──村島典子の歌──(27)

     村島典子の歌「星の林」30首・・・・・・・・・木村草弥
                  ・・・・・「晶」95号2016/09所載・・・・・・・

          星の林        村島典子

  一首づつ数珠繰るごとく読みつげり森岡貞香のことば木々の香
  星の林といふはいづらぞ夜の闇にぼうと灯れる山のあるべし
  星の林といふはいづらの山中の昼すらぼうと光ると言はめ
  「わが父 塚本邦雄」をたどりつつ二十歳の頃のわたしに会へり
  前衛短歌をいかに思ふかと問ひたまふ吉野のお山に考へし日よ
  あばら骨二十四本われにありその一本がけさは疼きぬ
  こゑは人間 診察室より呼びくるる加藤先生のおほらかな声
  われはまた流しに凭れゐしならむエプロンの前ぐつしより濡らし
  裏隣の夫婦あひつぎ亡くなりしを知らずに過ぎき三月が過ぎき
  孤独死と言はむ言はざる犬連れて門通るとき声かけくれし
  ホスピスに入りし一人をおもふ夕、柿のま白き花に気づきぬ
  ああ神は残酷ならむそれぞれに死をたまひたる星の林に
  裏庭の青きゆふぐれ柿の木に柿の花咲く五月の地上
  実生なる柿の一木も壮年となれば苔など幹に生やしぬ
  ひいふうみいと数ふる朝のあいさつに柿は笑へり小花のぞかせ
  雨降れば雨におほつち潤ひぬあかなすきうり獅子とんがらし
                *
  立つといふことに拘るわが犬は頽(くづほ)れるたび呻き声あぐ
  前足も身を運べざり後足まして立たざりいざり移動す
  跛行なる犬とわたしに春すぎて夏きたるらし地にぞ雨降る
  われはもやお母さんとぞ呼ばれたる獣医師は鎮静剤をくれたり
  良性か悪性なるか如何せん大き腫瘍は鮮血を噴く
  凍結の処置ほどこされ横たはる親指ほどの大きさに瘤
  伸縮性包帯を巻き老犬は傷病兵のごとく横臥す
  転移より老衰のはうが早からむ医師とわたしは共謀者なり
  鎮静剤のませしのちは頑なに歯をくひしばり水も拒絶す
  むつき外しお尻をぬぐひ包帯を替へしところで夜が明けにけり
  とろとろと薬の効果あらはれて眠れる犬よまだ生きたいか
  人ならば眠つてよいかと問ふならむ抱きおこして背を摩りをり
  もうまもなくお暇しますと言ひ出さめ六月青い紫陽花の朝
  犬と生きしことなき人よわたくしを愚かと言ふか愚かなるべし
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いつもながらの村島さんの佳い歌群である。「星の林」という題名が的確である。
死にかけている老犬に注ぐ視線が温かい。
この号の前の94号を三か月前にいただいたのだが、丁度、私は体調を崩していて、ここに紹介できなかった。
手、指がむくみ、全身脱力で、力も入らず、文字を書くことも、キーボードを操ることにも難儀した。
お詫びするとともに、今は軽快したので、ご放念いただきたい。
有難うございました。
  



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