K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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山田兼士詩集『月光の背中』・・・・・・・・・・木村草弥
山田_NEW

──山田兼士の詩と詩論──(12)

     山田兼士詩集『月光の背中』・・・・・・・・・・木村草弥
              ・・・・・・洪水企画2016/10/10刊・・・・・・・

山田先生が第四詩集『月光の背中』を上梓された。
ここに収録される作品群は、2013年9月に「交野が原」75号に発表された「1974年のムスタキ」から、2016年9月に、これも「交野が原」81号に発表された「南の電柱」を経て、巻末の未発表「ボストンテリア」に至る21篇である。
掲出した図版の文で読み取れると思うが、この詩集は、さまざまの試行によって成り立っている。
先ず、この本の装丁は巖谷純介の手になるものだが、あっさりしているようで面白い。
「あとがき」で山田氏は、こう書く。

<第一詩集『微光と煙』で試みた「詩論詩」も、かたちを変えて書き続けています。「Ⅲ」章の作品はその発展形のつもり。
 「Ⅳ」章には、追悼詩とその他の作品を集めました。
 全体を通して折句詩(アクロスティック)が多いのは、元テキストとの対話の意思によるものと考えています。
 一種の「本歌取り」のようなもので、モノローグよりむしろディアローグによる詩の可能性の探求、といえば少々おおげさに聞こえるかもしれませんが、
 いずれにせよ詩は他者との内なる対話の中から生まれるもの、という近年の思いの反映と心得ています。>

けだし、この文章は、この本の性格を簡潔に要約し得ていると言える。

この本の中でも、いくつかの「試行」がなされている。 ひとつ引いてみよう。

    詩はいつ来るのか

       夜明け前に
         詩が
         来た ─谷川俊太郎
              「襤褸」より


  あけまええにしがき
  の三行は実にすて
  はいだけはあった
  だぼくにはこない
  いえんにとどくの
  んげんはそのてま
  の少し前でつかの
  まんをしてまつだ
  もちをしずめてあ
  いせつなしがくる

「沓冠」とは、歌の頭と終わりに、任意のフレーズを配置して一連の歌を作る、という趣向である。
この詩では、谷川俊太郎の詩「夜明け前に詩が来た」という詩句が歌の頭①~⑩と、末尾⑩から①に配されている。
西欧詩で言えば「頭韻」と「脚韻」である。
こういうのを日本文芸では「沓冠」くつかぶり、と称して遊ばれてきた。

各行の「頭」に置く「頭韻」という形式には、こんなものがある。
こういうのを古来「冠付け」(かんむりづけ)と称して遊ばれてきた。

例えば、有名な在原業平の歌

   きつばた つなれにし ましあれば るばるきつる びをしぞおもふ

     (かきつばた 着つつ慣れにし 妻しあれば はるばる来つる 旅をしぞ思ふ)

の歌は、五七五七七の各々の頭に「かきつばた」の「音おん」を配置したものである。

日本語の特性として、西欧詩のような「脚韻」は、いろいろ試みられたけれど、それだけでは効果が薄いので、古来から今に伝わるのは「頭韻」なのである。
私が短歌結社「未来」に居たとき、編集長の岡井隆の弟子たちも「遊び心」旺盛な連中だから、私も編集部から誘われて「沓冠」(くつかぶり)などに参加した。
1996年9月号「未来」異風への挑戦③課題「沓冠」というものであった。
私の当該作品については「げんげ田にまろべば」 ← ここを参照されたい。
「沓冠」とは、歌の頭と終わりに、任意のフレーズを配置して一連の歌を作る、という趣向である。
頭と終わりが拘束されるので、結構むつかしいが、やってみると面白いものである。

話を山田作品に戻す。
このような試みは、先生は以前からやって来られた。セザンヌの絵にヒントを得た「岩山望景詩」という詩については、←に書いたことがある。

もっと作品を引いて論じなければならないのだが、五月、六月に体調不良になり、ようやく原因が判って治療し、軽快したばかりであり、体力が持たないので、お許しいただきたい。
今回は、この辺で終わりたい。益々の、ご健筆をお祈りいたします。 ご恵贈に感謝いたします。

先生についてはWikipedia─山田兼士に詳しい。




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