K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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茶畑はしづかに白花昏れゆきていづくゆ鵙の一声鋭し・・・・・木村草弥
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──初出・Doblog2008/11/24を再編集──

  茶畑はしづかに白花昏れゆきて
        いづくゆ鵙の一声鋭し・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥


昨日、十一月七日は二十四節季では「立冬」であった。
暦の上では、この日から「冬」ということになる。

今が茶の花の咲き始めるシーズンである。
この歌は私の第一歌集『茶の四季』(角川書店)の巻頭を飾る歌である。
WebのHPでも載せているのでご覧いただける。

私は半生を「茶」と共に過ごしてきたので、これに対する思いいれは尋常なものではない。
だから、第一歌集の名を「茶の四季」とした所以である。
茶の樹はツバキ科としてサザンカなどと同じ種類の木である。晩秋から初冬にかけて花をつける。
お茶の花は主に茶樹の下の方に咲く。茶の株の上部に花が咲くようだと、その茶園はあまり管理が良いとは言えない。
植物の花や実がつく状態とは葉や茎があまり育たない状態である。
お茶は「葉」を収穫する作物だから、花や実は、むしろ好ましくない。一般に「剪定」をすると花つきは良くない。

写真②の茶樹は、まだ幼木で仕立て中なので花が多くついている。
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茶の木はツバキ科の常緑低木で、原産地は中国南部の雲南省辺りと言われている。
今でも雲南省の奥地の西双版納(シーサンパンナ)に母木という巨木の茶の木があるという。
私は雲南省の昆明までは行ったことがあるが、奥地には行かなかったので、まだ見ていない。

茶の花は秋から初冬にかけて新梢の葉腋につく。白く五弁の香りの高い花で、花の中心に黄色の雄蕊がある。
受粉した雌蕊は果となり、一年がかりで翌年の秋に丸い種を包んだ実になるのである。
茶の木は古来、関東から九州にいたる山地に自生する山茶の木があったらしいが、葉を採って「茶」にして飲用することを知らなかったらしい。
中国の宋から茶の種と製法を持ち帰ったのは「栄西禅師」であると言われている。

私の歌集の巻頭の歌につづいて

  たはやすく茶の花咲くにあらざらめ酷暑凌ぎて金色の蘂(しべ)

というのがあるが、この金色の蘂が、とても印象的な花である。

  茶の花のわづかに黄なる夕べかな・・・・・・・・与謝蕪村

の句の描くところも、同じ風雅を伝えるものである。

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写真③は茶の実である。これは昨年の初冬に花が咲いて、一年かけて実になったもので植物の中でも息の長いものである。
この実を来春に蒔けば発芽して茶の木になる。
こういうのを「実生」(みしょう)というが、他の茶樹の花粉と交雑して雑種になるので、栽培的には「挿し木」で幼木を育てるのが一般的である。
今はやりの言葉で言えば「クローン」である。
写真の実の形からすると、実は4個入っている。この実の形が三角形なら実は3個ということになる。
初冬になると、外皮が割れて、中の実が地面に落ちる。
物を作るというのは生産的で、収穫の時期など心が浮き立つものである。
掲出した歌のつづきに以下のような歌がつづいているので引いてみる。

    茶の花・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥

  茶畑はしづかに白花昏(く)れゆきていづくゆ鵙の一声鋭し

  酷暑とて茶園に灌(そそ)ぎやる水を飲み干すごとく土は吸ひゆく

  たはやすく茶の花咲くにあらざらめ酷暑凌ぎて金色の蘂(しべ)

  ひととせの寒暖雨晴の巡り経て茶の実(さね)熟す白露の季に

  白露してみどりの萼(がく)に包まるる茶の樹の蕾いまだ固しも

  川霧の盛りあがり来てしとどにぞ茶の樹の葉末濡れそぼちゆく

  初霜を置きたる茶の樹に朝日さす葉蔭に白き花ひかりつつ


先にも書いたように私の半生をかけた「茶」のことでもあり、また第一歌集でもあるので「茶」についての歌は非常に多い。
また季節に合わせて私の「茶」にまつわる歌を採り上げたい。
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この記事をご覧になったbittercup氏から、地図の「植生記号」の「茶畑」の記号は、茶の実を横切りにしたものから採られた、とご教示いただいた。
詳しくは、「植生記号」を参照されたい。
この記号は、茶の実3個が入っているものから採られたらしいが、茶の実は一個だけのもの、二個、三個など、何でもありだが、五個というのは余り見かけないが、あるかも知れない。
記号に採られるということから3個の実が多いと言えるかも知れない。
こういう地図記号は、私も何度か目にしていると思うが、茶畑のものとして、しげしげと眺めたことがないので、忘れていたものである。ご教示に感謝したい。

茶の花を詠んだ句も古来多いが、明治以後の句を少し引いておく。

 茶の花に温かき日のしまひかな・・・・・・・・高浜虚子

 茶の花におのれ生れし日なりけり・・・・・・・・久保田万太郎

 こもり居や茶がひらきける金の蘂・・・・・・・・水原秋桜子

 茶の花のとぼしきままに愛でにけり・・・・・・・・松本たかし

 はるかなこゑ「茶の花がもう咲いてます」・・・・・・・・加藤楸邨

 茶の花やアトリエ占むる一家族・・・・・・・・石田波郷

 茶の花のほとりのいつも師の一語・・・・・・・・石田波郷

 お茶の花類句の如く咲きにけり・・・・・・・・佐野青陽人

 茶の花やさみしくなれば出てありく・・・・・・・・鈴木守箭

 茶の花をときに伏眼の香と思ふ・・・・・・・・飯田龍太

 茶が咲いて肩のほとりの日暮かな・・・・・・・・草間時彦

 茶の花を心に灯し帰郷せり・・・・・・・・村越化石

 お茶の花しあわせすぎてさみしくて・・・・・・・・北さとり

 茶の花や母の形見を着ず捨てず・・・・・・・・大石悦子

 茶が咲いて三年味噌の目覚めけり・・・・・・・・立川華子

 蕊含み切れず茶の花開きけり・・・・・・・・榑沼清子



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