K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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いくたびか冷たい朝の風をきって私は落ちた/雲海の中に・・・・・/・・・・・・大岡信
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      さむい夜明け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大岡信

     いくたびか冷たい朝の風をきって私は落ちた
     雲海の中に・・・・・・
     となかいたちは氷河地帯に追いやられ
     微光の中を静かな足で歩んでいた

     いくたびか古城をめぐる伝説に
     若い命がささげられ
     城壁は人血を吸ってくろぐろとさび
     人はそれを歴史と名づけ蔦で飾った

     いくたびか季節をめぐるうろこ雲に
     恋人たちは悲しくめざめ
     いく夜かは
     銀河にかれらの乳が流れた

     鳥たちは星から星へ
     おちていった
     無法にひろがる空を渡って
     心ばかりはあわれにちさくしぼんでいた

     ある朝は素足の女が馳けさった
     波止場の方へ
     ある朝は素足の男が引かれてきた
     波止場の方から

     空ばかり澄みきっていた
     溺れてしまう 溺れてしまうと
     波止場で女が
     うたっていた

     ものいわぬ靴下ばかり
     眼ざめるように美しかった
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この詩は、学習研究社『うたの歳時記』冬のうた(1985年12月刊)に載るものである。
「いくたびか」という詩句の3回のルフランなども詩作りの常套手段とも言えるが、この一篇で「初冬」の「さむい夜明け」の、さむざむしさを表現し得たと言えるだろう。



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