K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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辰巳美績・自分史『「運」「鈍」「根」~なにくその精神~』・・・・木村草弥
辰巳_NEW

──新・読書ノート──

     辰巳美績・自分史『「運」「鈍」「根」~なにくその精神~』・・・・木村草弥
             ・・・・・2016/05刊 非売品・・・・・・・・

こうして掲出してみると表紙の色が微妙に違う。現物は鮮やかな濃緑である。表紙の布は辰巳織布の製品である。
著者の説明をしておく。
辰巳美績(たつみ・よしつぐ)氏は大正13年(1924)10月10日生まれ。今の三重県名張市に出生した。
大阪府岸和田市に、辰巳織布株式会社を設立し、現在は会長を務める。:今年で満92歳となる。

辰巳美績氏とは縁戚ということになる。私の長女の女の子─孫の結婚相手の祖父ということである。
一昨年の結婚式でお目にかかり、今年の年賀状に、この本の上梓のことが書かれていたので、一月三日の私の一族の新年宴会に来た孫に言って贈ってもらったという次第。
孫などのプライバシーもあるので人名などは遠慮しておくので、ご了承ねがいたい。

この本は、文字通り、辰巳美績氏の一代記である。今もなお矍鑠として会社内外に目を光らせておられる様子が手に取るように、よく分かる。
記憶力も旺盛で幼い頃からの写真もたくさん収録されている。
辰巳美績氏の夫人は鈴子さんというが、この本を読むと、鈴子さんの内助の功が絶大であったことが判る。
この本を贈呈されたときに本に添えてある手紙も鈴子さんの代筆である。因みに、鈴子さんの生年月日が書いてないので不明だが美績氏とは二歳違いのようである。

辰巳美績氏は地元の小学校から松阪市の松阪商業学校に進学。1942年に横浜専門学校に入学する。1944年徴兵繰り上げにより仙台陸軍予備士官学校に「特甲幹」伍長として入学。
因みに、私の兄・木村重信も、この制度により豊橋予備士官学校に入学しているので親近感を抱いたことを書いておく。ポツダム少尉である。

この本には辰巳美績氏の「年譜」「家系図」、辰巳織布株式会社「年譜」など微に入り細をうがつ詳細なものである。
私は全編を詳しく読んでみたが、ここにすべてを引くことは出来ない。
今の時代は、とにかく物騒な世の中であり、どこから攻撃されるか分からないから、プライバシーの露出には気を付けたい。

戦後は物が不足していて、物さえあれば商いになる時代があったが、徐々に生産、流通が体制が整うようになり、そういう時代の趨勢をみて辰巳織布という会社設立に進まれた。
会社は1960年4月5日に誕生するが辰巳美績氏は池田繊維の専務をされていたので鈴子夫人が社長となられて発足した。
この本には鈴子夫人の昼夜を分かたぬ尽力のことが書かれている。

<家内は、朝は暗い内に起き、寮生の朝食の準備をし、日中は工場に入り、検反、管巻、筬通し、織り以外のことは全てした。
 また手の薄い所に手伝いに行き、午後は女の子に洋裁を教え、三度の食事の買い出しをし、一刻も休む時がなかった。
 夏場はクーラーがないため、しばしば食堂のデコラの食卓の下にくたびれ果てて寝ていたことを覚えている。
 急に出荷をいわれた日には、家内は徹夜で検反をすることもしばしばであった。>

私は繊維関係には無知なので、この本に書かれている当該部分について語ることは止めたい。
昭和36年(1961)9月16日、第二室戸台風により当時の工場が全壊したことが書かれている。復旧のために名張で瓦を買い占めたことなどである。
この台風では、私の方の会社の荒茶製造工場70坪余が全壊し建物と機械設備が全滅したことを思い出した。
そういう同時代だったのである。

立志伝中の人物として、自宅を立派なものに新築されたエピソードが載っている。写真を見ても豪壮なものである。
さぞや立派なものであろう。

1980年に長男の雅美氏が専務として入社された。当時の習慣として同業他社で武者修行させるのが常道であった。雅美氏も一年間、他社で「奉公」された。そして今は社長である。
雅美氏は京都大学出身ということだが、学部などは判らない。

繊維製品の製造過程で「糊つけ」という工程(サイジング)があるらしいが、それらは外注にしていたが2009年に関空対岸の地に「のりつけや」というサイジング工場を建築した。
この工場は24時間操業だという。
巻末には「人生訓集」というのが書いてある。「大欲せよ」「記録を残せ」「常に背伸びせよ」など、長年の人生を生きた知恵が述べられている。

私は繊維には門外漢であるから、とりとめもない紹介になったことをお詫びする。
これからもお元気で活躍されるようお祈りして、紹介を終わる。
本のご恵贈有難うございました。



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