K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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賜ばりたる活け鮎の背の一抹の朱のごときもの竹篭に光る・・・・木村草弥
kozagawa0717n2鮎本命

  賜(た)ばりたる活け鮎の背の一抹の
     朱のごときもの竹篭に光(て)る・・・・・・・・・・・・木村草弥


いよいよ鮎が各地の川に放流されるシーズンになって来た。
この放流用の鮎は琵琶湖に注ぐ川で捕獲したもので、全国に出荷されて行く。
もう二十数年も前になるが、草津のT氏夫妻が、だしぬけに拙宅を訪問になり、その際、活け鮎をいただいた。
丁度いま時分のことだった。私は活け鮎を見るのは初めてで、その夜は鮎の新鮮な塩焼きを賞味させてもらった。
T氏の下さった鮎も小ぶりであったから、おそらく放流用に捕獲された鮎だったろうと思われる。
そのT氏も2008年に亡くなってしまった。この記事を掲げて、ご冥福をお祈りする。

この歌は私の第一歌集『茶の四季』(角川書店)に載るものである。
私は「釣り」はしないので鮎の生態については詳しくないが、この歌は、T氏からいただいた鮎の姿の印象が根底にあるのである。
出だしの文句「賜(た)ばる」というのは皆さんには見慣れないものだろうと思われる。
普通は「賜わる」などと言うが、私の母は「たばる」という語法を使った。「頂いてくる」という時には「たばってくる」という風にである。
私は方言だと思っていたが、古語辞典を見ると、昔には「たばる」という表現があったらしい。
だから、母の使い方は、昔の語法が今に残っていたものだということだ。
この歌の場合、出だしの5音にぴったり合うので、私は躊躇なく使わせてもらった。

「鮎」は俳句では「夏」の季語となる。それを少し引く。

 新月の光めく鮎寂びしけれ・・・・・・・・渡辺水巴

 化粧塩打つたる鰭や鮎見事・・・・・・・・水原秋桜子

 笹づとを解くや生き鮎真一文字・・・・・・・・杉田久女

 月のいろして鮎に斑のひとところ・・・・・・・・上村占魚

 鮎焼くや葛を打つ雨また強く・・・・・・・・富安風生

 夜も白き激ちよ鮎の太るらん・・・・・・・・田村木国

 鮎走る見えて深さの測られず・・・・・・・・原田種茅

 岩におく鮎のひかれりくらけれど・・・・・・・・横山白虹

 鮎食ふや月もさすがに奥三河・・・・・・・・森澄雄

 鮎の腸(わた)つついて中年流離の箸・・・・・・・・伊丹三樹彦

 藻の香してすなはち鮎をたうべけり・・・・・・・・飴山実

 てのひらに鮎の命脈しづかなり・・・・・・・・有馬草々子

 鮎を焼く齢しづかにゐてふたり・・・・・・・・廻富士野

 父の跳びし順に岩跳ぶ鮎の川・・・・・・・・山口いさお

 鮎焼くや大円の月のぼりつつ・・・・・・・・中村明子



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