K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
201710<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201712
詩誌「カルテット」第3号から・・・・・・・木村草弥
カルテット_NEW

     詩誌「カルテット」第3号から・・・・・・・・・・・・・・木村草弥

編集発行人・山田兼士の詩誌「カルテット」第3号が恵贈されてきた。
その中から独断的に引いて、ご紹介する。
今号から同人以外の詩人が招待されることになった。 画像にも出ている人たち他である。 少し引く。

     ちょうちょ         高階杞一

  ちょうちょを見ていると
  次はちょうちょになれたらな
  なんて思えてきます
  誰にいやがられることもなく
  誰のじゃまもせず
  ひとり
  草木のあいだを舞っている
  そんな
  ちょうちょにも
  たぶん
  生きる苦労はあるんだろうけど
  それでも 次に生まれてくるときは
  ちょうちょがいいな
  と
  思えてきます

  春の終わり
  余白のような午後

  縁側にひとりでいると
  目の前の
  小さな庭が
  どこか遠い草むらと  
  つながっているように思えてきます
-----------------------------------------------------------------------------
いつもながらの高階さんのメルヘンっぽい詩である。
終連三行の詩句
<小さな庭が
  どこか遠い草むらと  
  つながっているように思えてきます>
が秀逸である。

       あわいつみ       江夏名枝

  夢の中では母音が書けない。

  鏡はいつも孤独で、夢のひわいろを絵画のように吸う。
  いくつかの数式が溶けている壁の彩度、夢にはわたしを感じる暗闇がない。

  繋留する、紙の舟。夢の水より軽い舟。

      (中略)

  重ねあわせても混じりあわない破片。

  昨晩はとても疑り深いひとに、ひとかけらを渡した。
  どうしたら、あなたの誇りを守れるだろう。
---------------------------------------------------------------------------------
萩原朔太郎記念とおるもう賞に輝いた江夏さんの近作である。
「あわいつみ」とは「淡い罪」のことであろうか。 それを、ひらがな表記にするところに彼女の意図がある。

      アベローネとともに       山下泉

  罌粟つぶのかわいた味に耳すますどこか下草を踏みしめたとき

  いつか作った日課表に会う 偶然を宿命にする遠きソノリテ

  ブリオシュを指に割くとき青みたる麦そよぎいる箸墓おもう

  おりにふれ空に正坐をする雲はアクロポリスの列柱のいろ

  アベローネと二度呼びかける声があり声のかたちにふりむく虚空

  まんじりと古壁画ぬけて古街道あかるい闇のなか泛かびゆく

  ふたかみやま雌峯を根から見あげいる古き眼差しに手繰られながら

  石窟に冬のみどりの影ひらき仏陀の頬のふくらみ削る

  冬の枝灰のねむりを覚ましゆく桜色の灰受けとめるため

  われはわれのききみみずきん手を垂れて夜の大樟の真下に立てば
-------------------------------------------------------------------------------
いつもながらの山下さんの短歌ぶりである。
ここに言う「アベローネ」とは、
<アベローネ、僕はあなたについて語りたくない。僕たちが互いに欺いていたからではない。
あなたが忘れたことがない一人の男をあなたがあの頃も愛していたからでもない、愛の女性よ、そして、僕がすべての女を愛してきたからでもない。
言うことには不当しか生じないからなのだ。 (マルテの手記)>
というリルケの詩句の女性、を指すものだと思う。.山下さんはリルケに私淑した高安国世に学んだのである。

他にも引くべきものがあるが、今回は、この辺で紹介を終わりたい。 有難うございました。



コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.