
木の椀に白粥さくと掬(すく)ひをり
朝粥会の法話終りて・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
この歌は私の第一歌集『茶の四季』(角川書店)に載るものである。
京都の夏は、盆地性の気候のため、とても暑い。
この夏の間を利用して各地の寺院などで暁天座禅会や緑蔭講座などが催される。
掲出の私の歌は、もう十数年も前のものであり、どこの寺のものか、などの詮索は止めて、一般的なものと受け取ってもらいたい。
掲出の「白粥」も、その場で写せるものではないので、あくまでもイメージであることを了承されたい。

写真②は建仁寺の法堂(はっとう)であるが、ここ建仁寺でも毎年7月初・中旬に「暁天坐禅会と緑蔭講座」が催される。
もともと昔からの行事として「夏安居」という90日間の僧の修行の行事があったが、それを庶民にも開放したのが、暁天行事として定着したと言えるだろう。
建仁寺の場合に触れると、本年7月7日(金)~7月9日(日)の3日間に亘り開催された。
坐禅開始は6:30~、緑陰講座は7:10~。(終了 8:00前後)
※最終日7月9日の講座後には粥座(しゅくざ)[朝食]の接待があった。
◎各日程の緑陰講座の講師は下記の通り。
7月7日(金)
講 師 坂村真民先生 ご息女 西澤 真美子 先生
演 題 『坂村真民の詩魂』
7月8日(土)
講 師 花園大学仏教学科教授 佐々木 閑(しずか) 先生
演 題 『ブッダが教えたこの世の真実 ー諸行無常と諸法無我ー』
7月9日(日)
建仁寺派管長 小堀泰巖老大師
提 唱 碧巌録第七十九則
『投子一切仏声』(とうすいっさいぶっしょう)』
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このような催しはあちこちで盛んであり、京都でもたくさんあるが、朝粥の接待のあるところは、後始末が面倒なので減ってきたらしく、
朝粥の出るのは、西本願寺の法話・朝粥、智積院の法話・朝粥などである。後は「おにぎり」「点心」「そーめん」などの接待が見える。
全国各地で朝粥会は行なわれ、毎週おこなわれるところも見られる。
ここでは「夏安居」を詠んだ句を引いて終りたい。
まつさをな雨が降るなり雨安居・・・・・・・・藤後左右
夏行とも又ただ日々の日課とも・・・・・・・・高浜虚子
杉深くいかづちの居る夏行かな・・・・・・・・富安風生
食堂(じきどう)も炷きこめられし安居かな・・・・・・・・皆吉爽雨
夏に籠る山六月の椿かな・・・・・・・・・喜谷六花
山門に山羊の仔あそぶ夏の始め・・・・・・・・中川宋淵
夏行僧白粥に塩落しけり・・・・・・・・土居伸哉
土性骨敲かれて居る安居僧・・・・・・・・河野静雲
黒揚羽絶えず飛びゐる安居かな・・・・・・・・川上一郎
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