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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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藤原光顕の歌「なんとなく」15首・・・・木村草弥
芸自_NEW

──藤原光顕の歌──(34)

     藤原光顕の歌「なんとなく」15首・・・・・・・・・・・木村草弥
             ・・・・・「芸術と自由」No.309/2019/09所載・・・・・・

         なんとなく        藤原光顕

  まちがいを笑ってくれる人がいない梅田地下街 ひとりで迷う
 
  黒服の人らあふれる手前で曲がりなんにもなかった町から帰る

  気紛れに曲がれば何かありそうな横丁ばかりだった 昔は

  不調箇所はその日その日の気紛れで エンジンと思うブレーキと思う

  たいへんですねと遠い目をするこの人はたぶん自分に引き付けている

  考えて棚へ戻す 冷蔵庫にはたぶん期限切れの何かがあるはず

  三十個入りが割安だったので毎晩ひとつぶつぶれ梅食う

  鍋一つ焦がしただけの夕飯終わる 焼酎一杯でこと足りるほどの

  なんとなく食べております いざという時のカップ麺いつまでもある

  宙吊りの思い日増しに強くなる まだ晩酌が飲める宙吊り

  ビニールの袋や輪ゴム ビニール袋に入れてゴミの日に出す

  押し殺した科白が続く暗い画面 リモコン持ったままで観ている

  公園の坂で自転車止めて休む ペタンクはみんなうまく外れる

  花水木 なんとか無事にいるうちに葉水木になり雨後の陽に耀る

  なんとなくどこかに何かがあるような風がまだ吹く 八十二歳
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いつもながらの光顕ぶし、である。
独り暮らしの老いの哀歓が濃く出ている。
「なんとなく」という題名が秀逸である。
偉そうなことを言っても、われわれのやっている「日常」などというものは、「なんとなく」過ぎゆくものなのである。
終連の末尾の言葉「八十二歳」に哀愁が漂う。
有難うございました。



 
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