FC2ブログ
K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
202001<<1234567891011121314151617181920212223242526272829>>202003
村島典子の歌「武相荘」33首・・・・・木村草弥
村島_NEW

──村島典子の歌──(31)

     村島典子の歌「武相荘」33首・・・・・・・・・・・木村草弥
              ・・・・・・「晶」99号2017/09所載・・・・・・・・

                  武相荘        村島典子

  数本のトマトにがうり唐がらし野菜えらいとまた思ひをり
  田の面には椋鳥あそぶ憲法を変へむと今朝の新聞に言ふ
  『切腹考』表紙の題字真つ二つ「腹」の截たれて帯の巻かれつ
                               *伊藤妃呂美著
  朝あさにわが家のうへを鳧がすぐけりけりけりと三度鳴きゆく
  なかぞらを鳧ゆく姿あふぎをり人間の名付けし鳥が飛び去る
  朴の木の高き梢の白きはな谷間繁りて今年は見えず
  武田百合子の『あの頃』読みつつ思ふなり原田汀子さん在りし日のこと
  本読めばひと思ほゆる読みてのちそを語りあふひとの在さず
  ああ死んでいいやと思ふ日がありぬ死んでたまるかと思ふ日もある
  自由とはこんなに素敵手をふりて歩くしまらく水辺をい行く
  目を洗はばこころ洗はるるならむ「うむ」と答へてくるる気がせり
  電話にて兄を叱れり八つ上の兄よいくならもで間に合はむ
  日本海いだく列島脱出し根室へゆきし歌びとおもふ
  じはじはと不安が恐怖にかはる日のそのいくたてを知りをりわれも
  山ノ神遺跡に生ひたる榊の木一年いちどの花つけにけり
  蕾の期ながし樹下にかよふ日々けふ小さなる花咲きたり
  茶の花にすこし似てをり黄のしべの睫のごとし羞らふごとし
  ツバキ科の榊なれどもタチバナの薫りを放つその下に佇つ
  きのふ見てけふ確かむるどんぐり山の榊の花の衰へはじむ
  ぞろぞろと出でくる人よ一斉の清掃日なり道つくるなり
  夫はいま組長なれば点呼なす作業ののちはジュースを配る
  夫のベルト階段なかばに置かれゐて傍通るとき僅か動きぬ
  はがき二通てがみ一本出す朝ことばはすでに小鳥のやうに
         六月、鶴川の旧白洲邸、武相荘を訪ぬ。
  小田急線きのふ未知なりけふは行き武相荘たづぬ蓮に逢ひぬ
  常滑の大壺に蓮はつぼみたりひつじの刻は正子も来ませ
  ふはふはと羊水のなかに浮くやうな臨死体験正子にありと
  耳聡く病み臥しし日は床の上に針落つる音も聴き逃すまじ
  結界と呼ばれし書斎の机ぎはに『鳥獣蟲魚』置かれありけり
                           *前登志夫歌集
  北向きの部屋は結界姥捨ての山へ一過と正子言ひにき
  この部屋に名文生れき机の上の筆入れにマーカーペンも覗きて
  葬式無用戒名不用 ああ野人白洲次郎の遺言簡明
  在野の人貫く生きざま時の世に天晴れならむ贅沢ならむ
  その地踏むことのたいせつしみじみと梔子の白柿の実の青
------------------------------------------------------------------------------
おなじみの村島典子さんの歌の載る同人誌が贈られてきた。
いつもながら佳い歌群である。
はじめの方に「鳧ケリ」を詠んだ歌がある。この「鳧」という字は文字通り象形文字で脚の長い鳥である。
私の住む辺りの田んぼにも居る鳥である。春先から初夏にかけて農作業が始まる頃に田んぼに居る。ちょうど子育ての頃で、村島さんの詠まれたのは「警戒音」である。
私がいつも朝の散歩をするときにも、この警戒音を発せられる。

白洲正子は文章を推奨されることが多いが、私は昔、『かくれ里 愛蔵版』(2010年新潮社刊)というのを読んだことがある。
私の住む「山城」の地に触れた個所があるから、ぜひ読みたいと思ったからである。
ところが、この人は地名などに間違いが多発していて幻滅した。文学者であるからには、そういうことに厳密でなければイケナイ。
なまじ有名人であることに胡坐をかいて威張っている節が感じられて「鼻白んで」しまった記憶がある。
それは間違いを指摘して訂正しようとしなかった編集者の責任でもあろうか。
今年の冬に亡くなった兄・木村重信は、こういうことには厳しい人で、句読点、半画、一画にも間違いには煩かった。一緒に校正もしたが多くのことを教えられた。
余計なことを書いた。 村島さんには関係のないことであった。  ご恵贈に感謝します。


コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
copyright © 2020 Powered By FC2ブログ allrights reserved.