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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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岩崎恭子詩集『ひばりの声が聴こえない』・・・・・木村草弥
岩崎_NEW

──新・読書ノート──

     岩崎恭子詩集『ひばりの声が聴こえない』・・・・・・・・・・・木村草弥
             ・・・・空とぶキリン社2017/09/15刊・・・・・・

私には未知の著者・岩崎恭子さんから、この本が贈呈されてきた。
高階杞一氏の指示によるものだろう。
巻末に載る略歴によると、1967年 福岡県生まれ。 2004年「詩学」新人。 2006年「詩と思想」2005ベスト・コレクション。
同年 第15回播磨文芸祭「わたしの詩」一般部門 最優秀作    とある。
全部で17篇の作品が収録されているが、「あとがき」によると20代から書き溜めてきたものだという。
それにしても、この年数からみると収録作品が少ないのではないか。
<2004年「詩学」新人。 2006年「詩と思想」2005ベスト・コレクション。同年 第15回播磨文芸祭「わたしの詩」一般部門 最優秀作>というのが、どの作品に当たるのか、
など「初出」を書き加えてもらいたかった。
とは言え、詩を書き抜いてみよう。

            ひばりの声が聴こえない       岩崎恭子

     感情を失った手足が
     冷えた大地に転がっている
     まとわりつく霧の粒子
     カタカタと細かに震えながら谷底に
     落ちてゆく声
     ひばりの声が聴こえない五月
     空の高さが分からない

     世界の端っこに咲く花
     突き上げられた一本の腕が
     風に揺らされ
     微笑んでいる

     その瞳の奥に張りついた記憶は
     誰の記憶か

     ひばりの声が聴こえない五月
     谷底で見失った声をわたしは拾いあつめる
     こぼれ落ちる涙
     指先で光っている

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この本の題名になっている詩であるから著者にとって愛着のある作品なのであろう。
別の「紅い花」や「黄色い世界の果てに」などの作品を読むと、著者は看護師なのではないか、と推察したりする。

この本の「帯」に
<確かにあったもの/確かに触れられたもの・・・・・・
 喪失から再生への祈りをこめた、鮮烈な第一詩集。> とある。
ヒバリは五月に空高く、鳴いて飛翔する。 その声が聴こえない、というのである。
だが「詩は意味を辿ってはいけない」という。 著者の「喩」を無理に知ろうとするのはやめるべきだろう。
「まとわりつく霧の粒子」という言葉の選択は、田舎暮らしの私には、よく判る。 野づらを這ってゆく霧の流れの中を散歩したりするからである。

別の作品を引いてみる。

        紅色の手       岩崎恭子

     スカートの裾にあの人の顔がひろがって
     朝顔の紅に染まっていく
     私は子犬を胸に抱き甘えん坊の香りを嗅ぐ
     子犬の肉はやわらかい
      
     らせん状に手をのばすあの人の指先が
     スカートの裾から自らの紅を簡潔させようとしている
     私は子犬を抱きしめ
     しっとり濡れた鼻先を噛む
     口中に溶けてゆく甘えん坊の香り
     紅色はほんのり微熱を帯び
     朝顔の螺旋はそのつぼまりに私を捻りあげる
     肩にかかる紅色の肌
     蒸せかえる空気は息苦しく
     子犬だけはと高く手をさしあげる
            (後略)

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この一連では、私は或る「性的な」喩を意識したが、間違っているだろうか。

巻頭に「このまま」という詩を単独で置いたこと。
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ などの区分けの意味なども分からない。
「詩は意味を辿ってはいけない」と言いながら、意味を辿っている自分を発見する。
これからも、作品をたくさん書いていただきたい。
ご恵贈有難うございました。 不十分ながら、ご紹介まで。






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