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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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祓はれて馬の嘶く六日かな・・・・原茂美
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  ■祓はれて馬の嘶(いなな)く六日かな・・・・・・・・・・・・・・原茂美

    ■一きほひ六日の晩や打薺(なづな)・・・・・・・・・・・・・鬼 貫


節日である七日正月の前夜である。
文化五年刊の『改正月令博物筌』に「今日を馬日とす。○六日年越し、七日は式日なれば、今日をいふにや」とある。
「馬日」に因んで、雪原を駈ける馬の写真を出してみた。

天明頃の本『閭里歳時記』に「今日七種の菜を採りて明朝の粥にまじへ食ふこと、旧きならはしなり。城下にてはわづかに芹・菘等を用ひて、必ずしも七草を用ひず。
今夕、かの菜を魚板に置き、桶の上にあげ、擂木(すりこぎ)・魚箸(まなばし)等をも載せて、菜を割りながら節あり、<七種なづな、唐土の鳥と、日本の鳥と、渡らぬ先に>と、はやすなり。
時々にはやして暁に至る。家々にすることなり」とある。

昨日から「寒」に入った。寒さの厳しくなる頃である。
「寒の入り」に合せて本格的な冬になるということで、季節の推移というものは正直なものである。
なお「大寒」は一月二十日ということである。


「正月六日」を詠んだ句も多くはないが、それらを引いて終る。

 六日はや睦月は古りぬ雨と風・・・・・・・・渡辺水巴

 凭らざりし机の塵も六日かな・・・・・・・・安住敦

 六日夜も灯のついてゐる手術室・・・・・・・・石井保

 眠りの森の美女を見にゆく六日かな・・・・・・・・須川洋子

 冷えきつて賀状の戻り来し六日・・・・・・・・福井隆子

 海を見に来てゐて松も六日かな・・・・・・・・中野あぐり

 活け直し六日の床を新たにす・・・・・・・・鵜飼濃尾女

 朝食をはやばらばらに摂る六日・・・・・・・・細川洋子

 賀状来し人の訃へ発つ六日かな・・・・・・・・伊藤真代

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今日の記事は短いので、週刊「川柳時評」 に載る記事を転載させてもらうことにする。

転 載─週刊「川柳時評」 ─2017年12月15日金曜日

        諸誌逍遥(1) ―11月・12月の川柳・短歌・俳句

時評をしばらく休んでいるうちに、相手取るべき雑誌や句集がたまってきた。
川柳はそれほどでもないが、俳句や短歌は活発に動いていて多岐にわたるので、駆け足で見ていこう。

「川柳木馬」145号は今年9月12日に亡くなった海地大破を追悼している。
清水かおりの巻頭言、古谷恭一の「海地大破・追想~人と作品~」のほか、海地大破作品集として154句を収録している。

蝉の殻半身麻痺のてのひらに      海地大破
たましいが木の上にあり木に登る
短命の家系をよぎる猫の影
とても眠くて楽譜一枚書き漏らす
夜桜に点々と血をこぼしけり

大破は「木馬」の精神的支柱であるだけではなく、全国の多くの川柳人にとっても心の支えだったと思う。
彼のあとを継承する「木馬」同人の作品から。

熟れ過ぎてここには翼つけられぬ    岡林裕子
ほんとうに求めるときは手動です    内田万貴
ここに来てここに座って木霊きく    大野美恵
愛咬の顎は地上に出られない      清水かおり
ゼラニューム手のかからない娘であった 川添郁子

11月の文フリ東京には行けなかったが、共有結晶別冊『萬解』を送っていただいた。
「俳句百合読み鑑賞バトル」「短歌鑑賞」から構成されている。BL読みがあるなら百合読み(GL読み)もあればおもしろいということらしい。短歌では山中千瀬や瀬戸夏子の作品が取り上げられている。

恋というほかにないなら恋でいい燃やした薔薇の灰の王国  山中千瀬
スプーンのかがやきそれにしたって裸であったことなどあったか君にも僕にも 瀬戸夏子

穂崎円は瀬戸の作品を次のように鑑賞している。
「感傷の甘ったるさや後悔の苦さはない。ただ今、スプーンの光に目を奪われ呆然としている僕がいるばかりだ。一度不在に気付いてしまったら、そうではなかった頃の自分に二度と戻れはしない」

「かばん」12月号は谷川電話歌集『恋人不死身説』の特集。

真夜中に職務質問受けていて自分が誰か教えてもらう      谷川電話
会いたいと何度祈ったことだろう 電車の窓にだれかのあぶら
恋人は不死身だろうな目覚めると必ず先に目覚めてるし

歌集評を木下龍也・初谷むい・佐藤弓生・柳本々々、山田航が書いている。
初谷むいは「すべて変わっていくこの世界の中であなただけが不死身であるということ」で、この歌集の「恋人のいる世界①」→「恋人のいない世界」→「恋人のいる世界②」という変遷をていねいに論じている。
柳本々々の「水の移動説」は「恋愛とは水の移動である」という説をとなえるが、これは「川柳スパイラル」創刊号における柳本の「竹井紫乙と干からびた好き」と表裏をなしている。谷川の短歌の水と竹井紫乙の川柳「干からびた君が好きだよ連れてゆく」を対照的にとらえているのだ。

「豈」60号の特集「平成29年の俳句界」。平成生まれの川嶋健佑が挙げているのは次の作品である。

青林檎からしりとりの始まりぬ     小鳥遊栄樹
遠足の終はりの橋の濡れており     黒岩徳将
会いたいな会いたくないなセロリ食う  天野大
春愁は三角座り、君が好き       山本たくや

一方、大井恒行は特集「29歳の攝津幸彦」で平成29年の29歳の俳人を「俳句年鑑」で調べたところ次の三人が見つかったという(「現在の29歳の俳人たち」)。

遠足の列に呑まれているスーツ     進藤剛士
朝焼けの象と少年泣きやめよ      山本たくや
蟬しぐれ自傷のごとく髪を染め     ローストビーフ

その上で大井は29歳のころの攝津幸彦たちの世代について振り返っているのだが、なかなか興味深い。

他にも紹介したいものがあるが、今回はこのへんで。

投稿者 如月和泉
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この引用にあたり筆者には厚く御礼申しあげる。

筆者プロフィール
如月和泉 本名・小池正博。川柳人・連句人。
句集にセレクション柳人『小池正博集』『水牛の余波』(邑書林)評論集に『蕩尽の文芸―川柳と連句』(まろうど社)がある。




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