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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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自が開く力に揺れて月下美人ひそけき宵に絶頂ありにけり・・・・木村草弥
2002gekkabijin0716b月下美人

  自(し)が開く力に揺れて月下美人
   ひそけき宵に絶頂ありにけり・・・・・・・・・・・・・木村草弥


「月下美人」は長らく名前は聞いていたが十数年前に知人から一鉢もらって今も栽培している。珍しい神秘的な花として当初は、わくわくだったが、栽培してみると毎年いくつも花が簡単に咲くので拍子抜けするようである。

040626蕾はじめ①

写真②が「つぼみ」の段階である。最初は垂れているが成熟するにつれて「勃起」するように花が上を向いてくる。写真は、最初の下向きに垂れている段階。写真に写っている右の二本の蕾は、これ以上発育せずに、落ちてしまった。
月下美人は、もちろん外来の植物で「サボテン」の類である。栽培本によると直射日光を避けるように書いてあるものもあるが、それはおかしく、本来、熱帯地方の植物であるから、寒さには弱いが暑さには強い。私の家では半日以上直射日光の当るところに置いてある。
写真③が、その段階を過ぎて、蕾が上向きになりかけたところ。
040629蕾起き上がり

私は知人が栽培していた月下美人の鉢を、ここ一両日で咲くという段階のものを頂いた。十数年前のことである。月下美人の名の通り、夕方から、晩になって、とっぷりと夜のとばりが下りた夏ならば午後9時ころから開花しはじめる。大振りの花で直径は10センチ以上ある。もちろん手入れの仕方によって花にも大小はある。
花芽は写真③に見られるように葉の切れ込みの辺りから出てくる。葉の出てくる場所も同じような処からである。先にサボテン類と言ったが、シャコバサボテンの花芽の出方と同じである。
写真④は勃起しかけた蕾が複数ついているところ。
626_5月下美人蕾

とにかく月下美人の蕾の発育の仕方を見ていると、男性性器が平常時のしぼんだ状態から「勃起」し、かつ大きさも何倍にもなるのと同じような動きを示すので、ある意味でエロチックである。
花はとっぷり夜になってから一時間余りかけて完全に開く。
そして翌朝には完全に「しおれて」勃起していた花も下を向いて、だらんと垂れている。この様子も、事が終ったあとの男性性器の状態を思わせて、むしろ嫌らしい感じさえする。しおれた花は葉の付け根から、すぐに切り取る。そうしないと次の開花に影響があるようだ。
写真⑤が、そのしおれた花の様子である。
bijin-11萎んだ花

とにかく月下美人は強い植物で、冬の間は屋内の南側のガラス越しの場所に置いてやれば栽培には問題はない。私の家では、夏場はほったらかしである。水やりは、たっぷりと毎日夕方にやる。

掲出の歌は歌集には未収録のものである。第四歌集『嬬恋』(角川書店)には収録歌数が多くなりすぎて削ったので

月下美人たまゆらの香を漂はす明日ありや花 明日ありや花

という歌だけ載せた。しかし、この歌よりも、掲出した歌の方が佳いと思って、これにした。初出は「地中海」誌に載せた7首であり、以下に、それを引用する。

  月下美人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥

かのひとに賜ひし一鉢ふくらめる月下美人の咲くを待つ宵

この宵は月も出でざれば月下美人一花乱るる刻きたりけり

蛇皮線を弾いて月下美人の花待つと琉球の友の言ひしも愛(かな)し

白き焔(ほ)を吐きて月下美人のひらき初む一分(いちぶ)の隙もなきしじまにて

友の喪より帰り来たれば月下美人咲き初めむとす 梅雨ふりしきる

自(し)が開く力に揺れて月下美人ひそけき宵に絶頂ありにけり

月下美人たまゆらの香を漂はす明日ありや花 明日ありや花
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月下美人に驚きを感じなくなった今なら、こんな感動に満ちた歌は作れない。詩歌は「刻の産物」と言われるが、まさに、そのことを、この一連は証明している。

例年だと梅雨頃から咲きはじめる。昨年は、たくさんの花がつぎつぎと咲いて、うんざりする程だったが、今年は7月は梅雨が長引き、8月はじめまでかかるという異常さで花は咲かなかった。秋口になってから咲くようになったが、花の数は少ない年である。

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