
草笛で呼べり草笛にて応ふ・・・・・・・・・・・・・・・・辻田克己
「草笛」なつかしい響きである。
うまい人にかかると、どんな葉でも草笛になる。
私は子供の頃から「鈍」な子供で、うまく操れなかった。
掲出の辻田克己は京都・宇治に住む人である。たしか教職にあった人で、今では小さいながら結社を率いているらしい。
この人も「草笛」は巧かったのであろう。
写真の吹き方は葉を平らにして吹いているが、ものの本によると葉を丸めても吹けるらしい。私は見たことがない。
私の亡長兄・庄助が病気療養中に気晴らしに草笛を吹いているのを聴いたことがある。はるかはるかの遠い昔の思い出である。
草笛を詠んだ句は多くはないが、少し引いて終わる。
草笛の葉は幾千枚もありかなし・・・・・・・・山口青邨
荒れ濁る海へ草笛鳴りそろふ・・・・・・・・西東三鬼
子守り子や緑ひねりて草の笛・・・・・・・・平畑静塔
草笛や物差余すランドセル・・・・・・・・石井花紅
草笛や眼を遠き雲に据ゑ・・・・・・・・宮原山水
兄のふく草笛にやや憂あり・・・・・・・・美野田ひろ
草笛や泣く母の顔子にふしぎ・・・・・・・・伊藤みちこ
草笛のきこゆるごとき手紙かな・・・・・・・・加藤三七子
左右の手の草笛の音を吹き分けぬ・・・・・・・・三宅清三郎
母の忌や野に草笛の輪があふれ・・・・・・・・若つき輝
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