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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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村島典子の歌「つぐみの木」34首・・・・・木村草弥
晶_NEW

──村島典子の歌──(34)

     村島典子の歌「つぐみの木」34首・・・・・・・木村草弥
            ・・・・・「晶」102号/2018.6所載・・・・・・

          つぐみの木      村島典子

   鉄塔の下辺に生ひてカニクサは霜月のあさ緑そよがす

   竹叢の伐りはらはれて隠沼のあらはれ出でつ、後の憂鬱

   行き違ふほどのえにしに歌の友 高橋正子 船渡川佐知子

   生きの身のをのれことほぐ冬ざれの山上にきて息ととのへて

   山ノ神の池の面こほり鴨たちのその上をあるく三十羽ほど

   うちつけに眼のあひて鵯一羽飛び立つ「このあたりの者に候」

   「ぬか床は冬眠に入る」と記されし日記出できぬ冬至の記録

   救急車ひたすらに来て止まりたりホーム「悠悠」の柿の木のまへ

   ヒヨドリの落としし柿をツグミらは啄ばみてをり雪のくるまへ

   ヒヨドリの去りてツグミの占領す柿の木はいま鶫の木なり

   食ひちぎるはた皮をむく渋柿を上手く喰らひぬ鶫のやから

   三百個木にのこりたる渋柿は三十八羽のつぐみ養ふ

   熟柿すべて落ちてしまへば鳥どちはつぶれし実をば分け喰らひをり

   雪の朝ふいにぞ眼またたかせ青空の落ちしやうなその沼

   叡山は吹雪きゐるらし対岸にすがた見えねば非在のごとし

   部屋が飛ぶ夢みてをりき覚めぎはに寒の水辺に打ち上げられき

   少時はゆめの中なり天空に白き花みつ湖の上なり

   昨夜見たる欠けゆく月の月蝕の完膚なきまで身を消し去りつ

   月蝕の一夜があけて朝空にスーパームーン全円を見す

   ブルーブラッドスーパームーンと告げられてわが戸惑ひぬ血の色の月

   「畑から直行でござる」泥土をつけし蕪は見得を切りたり

   きさらぎの空を見上げよ飛ぶものは地球を出づるやうに発つなり

   この世での約束ゆつくり解かれゆきいま自由です 鳥の舞ふ空

   かるたはや光の断片摑まむとをのこをみなの膝をのりだす

   朗々とうたふをみなと訥々とよむをのこゐてたのしきろかも

   直に会ふ人こそよけれ神宮の杜にあかるし笑ひ声みつ

   梅林の坂のぼりくる園児らは小鳥の趾のごときをもてり

   おほかたは蕾の固し羞ひて紅梅はわが少女のごとし

   南島より泣きに帰りてきたる娘と猿曳坂に梅を見しころ

   さくらには未だし早しさりながら娘には梅なかんづく紅

   ああ春はいつのまに来ぬ新幹線の高架のしたにイヌフグリ咲く

   あとすこしもうすこしとぞ濡れながら立ち尽したり春まつ林

   ささなみの湖辺あかるし夕桜しるしとなして人たづね来よ

   夕ざくら何処ともなくあらはれて小鳥も人も花をたのしむ
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いつもながらの村島さんの精細な「観察」の行き届いた一連である。
一連は「霜月」から始まって「夕ざくら」で終わっている。
一連34首は、そんな日時の経過を詠んで秀逸である。
いつもながらの、ご恵贈に感謝して紹介を終わりたい。 有難うございました。



   
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