
おはじきもビー玉遊びも知らぬ児の
指がすばやくスマホを撫でる・・・・・・・・・・・茨城県・杉山由枝
この歌は角川書店月刊誌「短歌」平成二十五年十月号に題詠「硝子」志垣澄幸氏の選で載るものである。
今どきの話題の「スマホ」をさりげなく取り込んだ佳作である。
今どきの子供は殆どがスマホを持っており、大人よりも、すばやく見事に操るらしい。私の身近には子供が居ないので、わからないが。
以下、題詠「硝子」の作品をいくつか引いておく。
梅雨の朝結露に曇る硝子戸に子の落書きか「へのへのもへの」・・・・・・・鹿児島県・小村英弘
ひんやりと冷たきガラスの台の上寝かされて撮るわれの背の骨・・・・・・・神奈川県・若月圭子
パソコンの待ち受け画面の青空は三百六十五日真夏日・・・・・・・滋賀県・松山武
常備薬持つ身となりて早二年眺めるだけの冷酒用酒器・・・・・・・千葉県・猪狩郁子
窓硝子に顔を押しつけ母われを待つ幼子の鼻ぺちゃの顔・・・・・・・東京都・中村京子
一枚の硝子へだててアカリウムにヒトという生き物見ている魚・・・・・・・青森県・中里茉莉子
ささいなる諍ひのはて毀ちたる対のグラスの欠片をひろふ・・・・・・・青森県・平井軍治
おそろいのブランディーグラスの一つ欠け無傷のグラスも共に廃棄す・・・・・・・宮城県・和田瑞之
大蜘蛛がフロントガラスにはりついて十キロ先まで共に旅せり・・・・・・・熊本県・吉田尚子
ガラス瓶梅雨の晴れ間の陽に晒し手順通りに梅干し漬けぬ・・・・・・・宮崎県・小泉千鶴子
二重ガラス「しかも真空」とて誇るペンションなれや聴けぬ夜蛙・・・・・・・東京都・板坂寿一
映画なる一コマ今に忘れざり硝子ごしなるリズの接吻・・・・・・・新潟県・神田弘子
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