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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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佐相憲一詩集『もり』・・・・木村草弥
佐相_NEW

──新・読書ノート──

      佐相憲一詩集『もり』・・・・・・・・・・・・・木村草弥
              ・・・・・澪標2018/06/29刊・・・・・

この本は佐相氏の九番目の詩集になる。
佐相氏のことは高名な詩人として知ってはいたが、作品を読むのは、初めてである。
今回、澪標の松村信人から贈呈されて読むことになった。
佐相憲一とは ← こういう人である。Wikipediaにリンクしているのでアクセスされたい。

詩集
『共感』 『対話』 東洋出版
『愛、ゴマフアザラ詩』 第36回小熊秀雄賞
『永遠の渡来人』 『心臓の星』 土曜美術社出版販売
『港』 詩人会議出版
『時代の波止場』 『森の波音』 コールサック社
『もり』 澪標
他にエッセイ、評論集、小説など多数。現在、文芸誌「コールサック」共同編集人。

この本は、この五年間に発表された作品群の約七分の一にあたる17篇を収録するという。
<森に関わって書き始めた前詩集のさらなる先へと追求していったものが、全体のなかに少しでも生かされたなら幸いです。>
と「あとがき」に書かれている。
収録される作品の題名を書き抜いておこう。
「虹」 「夕暮れ」 「オオカミ」 「宝石」 「 影」 「補償の森Ⅰ」 「補償の森Ⅱ」 「地下無限階」 「雲の道」 「樹海の蜘蛛」 「セツブンソウ」 「ジョーカーの時間」 「西武拝島沿線」 「天気予報」 「風の比喩」 「痛みのグラブ」 「光合成」

この詩集の「キーワード」は「もり」でる。
「あとがき」に書かれているように、それは「茂り」「盛り」多様な木々が盛んなところ、である。漢字にせずに「もり」とひらがなにしてあるところが「ミソ」である。
「群れたくない」という思いと「ひとの心に寄り添いたい」という願い、と自分のことが書かれている。

この中から「風の比喩」 「樹海の蜘蛛」の一連から引いてみる。

     風の比喩 (抄)     佐相憲一

   かたちのないもの
   吹いてくるもの
      ・・・・・
   流れるもの
      ・・・・・
   揺らすもの
      ・・・・・
   刺すもの
      ・・・・・
   奪うもの
   運ぶもの
   飛ばすもの
   届けるもの
     ・・・・・
   すきま風
   こがらし
   山おろし
   海風
   夜風
   通り風
   そよ風
     ・・・・・
   つむじ風
      ・・・・・
   からっ風
      ・・・・・
   〈パラム〉
   〈フォン〉
   〈かぜ〉

      樹海の蜘蛛 (抄)    佐相憲一

   風に飛び
   わたる命の内側から紡がれていく物語

   宇宙摂理のぶらんこに
   泰然と時を待って生きる八本脚だ
       ・・・・・
   朝に自らの糸を食して回収し
   夕方デザインを更新する 
   樹海の片隅に糸の帆を張って
       ・・・・・
   通り過ごしてきた大事なものが
   目の前に揺れている

   樹海の音階に耳を澄ます
        ・・・・・
   生の樹海を泳ぐ寄る辺ないものに
   森という生き方を思い出させてくれる
        ・・・・・
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所詮「詩」とは「比喩」「言葉の置き換え」以外の何物でもない。
これらの詩篇は、言葉の選択も的確で、人の心を捉えるのだ。
この本の「あとがき」に
<東京の西外れの森で困難な人生行路を共に歩んでくれる愛する妻には、あらためて感謝です。>
と書かれている。
このような表白は極めて珍しいことで、私としても大きな感動を覚えたことをお伝えしたい。 
詩人としてエッセンスを極めた作品を読ませていただき感謝する。
有難うございました。不完全ながら鑑賞の一端とする。     (完)



 
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