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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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中村和雄詩集『一本橋』・・・・木村草弥
中村_NEW

──新・読書ノート──

      中村和雄詩集『一本橋』・・・・・・・・・・・・・木村草弥
                 ・・・・澪標2018/09/25刊・・・・・・

この人は私には未知の人である。
版元の澪標の松村信人氏から恵贈された。
解説を書いている細見和之によると、作者は市役所勤務をされていたらしい。
その一端が掲出した画像の文章から読み取れるだろう。
引き続き細見和之の文章を借りれば

<いきなり「ひょっとこ」ではじまり、「へび女房」、「小僧」、「八月」と不思議な寓意的世界がひょうひょうと展開してゆく。
 かっぱ、カラス、タヌキと、作品にはいわば民話的な生きものが繰り返し登場するが、それはあくまでも言葉のうえでの存在である。
 ・・・・・それらは作者の詩が動いてゆくための、一種の記号的な存在である。>

これは、この詩集の的確な要約であるだろう。

中村和雄
1955年 愛知県名古屋市生

と現住所だけ しか明かしていない。
細見の解説によると、作者は、どのような同人誌にもサークルにも属していなかったと、版元から聞いている、らしい。
全くの個人作業として、詩を作りつづけてきたのだろう。
それにしても、この詩集の完成度は高い、と私は思う。
細見は解説で「石原吉郎」との関連を書いているが、(何らかの根拠があるだろうか)私は、それは無視してもいいと思う。
それよりも細見の解説で的確なのは「帯」の文の後段の

<作品を書き継ぐことに、密かな愉悦に近いものがあったのではないか。>

という個所が読後感としては的確であろう。
私としては、ラフカディオ・ハーン『怪談』を読んだ後の雰囲気に共通するものを感じ取った。もっとも「暗く」はないが。

作品を引いてみよう。

      ひょっとこ (抄)      中村和雄

   ・・・・・
   ひよっとこを少し切るたびに
   だんだんひょっとこらしくなる
   ひょっとこのすべすべの
   切りくち
             ひよっとこになった     
             ひよっとこ
             お面と
             ちんぽこだけの
             ひょっとこ
   切りくちを舐めるとひょっとこが笑う
   どんぶりが溢れてひょっとこが踊る
   ひよっとこが踊ればちんぽこが揺れる
   ・・・・・

        一本橋 (抄)     中村和雄

   白川一本橋
   ねずみがとおる
   ・・・・・
   白川一本橋
   婆あがおちる
   ・・・・・
   白川一本橋
   たぬきがくぐる
   ・・・・・
   白川一本橋
   坊主がおどる
   ・・・・・
   白川一本橋
   すずめがさわぐ
   ・・・・・
   白川一本橋
   坊主がころぶ
   ・・・・・
   白川一本橋
   婆あがわらう

夜が明けてしまえば、一本橋とはいえただの端である。けれ
ども、橋を渡って来たものに、口をきかないしきたりは変わ
らない。橋を渡るときの、長い挨拶は変わらない。誰もが、
遠くへ行く人のように、別れの挨拶をするのである。
   ・・・・・
   白川一本橋
   ねずみがとおる
-------------------------------------------------------------------------
題名になった詩を抄出した。
それぞれ付けられたキャプションとしての文章も的確だろう。

全部で23篇の作品が収録されているが、不十分な抄出になったことを、お詫びしたい。
もう若くはないが、これからも詩作を続けていただきたい。
佳い詩集を恵贈いただいて感謝します。       (完)






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2018/09/20(木) 21:58:18 | | # [ 編集 ]
Re: 『一本橋』ご紹介ありがとうございます
これからもよろしくお願いします。
2018/11/20(火) 05:10:02 | URL | 木村草弥 #- [ 編集 ]
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