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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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書評・木村草弥第三詩集『修学院幻視』を読む・・・小西亘
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   草弥の詩作品<草の領域>
      poetic, or not poetic,
      that is question. me free !
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      書評・木村草弥第三詩集『修学院幻視』を読む・・・・・・・・・・・小西亘

 詩は、常人にはない繊細な感性と特殊な表現力によって生み出される、言語の結晶とも言うべき文芸の形式である。
しかしそれが、常人の感性に響かず共感を得られぬものならばまた、普遍性を欠き、詩として成立しない。
詩というものの難しさであると思う。
 詩を読み慣れぬ私は、木村草弥『修学院幻視』を一読して、これが詩と呼べるものなのかと、驚いた。
散文的文体で綴られ ──もちろんそれは、柔らかで簡潔、リズムを持つ快いものであるが── 、対象について、ある種の「解説」がなされる。
しかし読み進めるにしたがって、やがて詩的世界に誘いこまれてしまい、あるいは引用の詩歌と止揚されてひとつの詩的世界が出現するのだ。
今までにこのような不思議な作品群に、私は出会ったことがなかった。
 木村草弥『修学院幻視』とわれわれ常人との接点の一つは、この「解説」的散文体にあるだろう。
しかし、「詩らしい詩」を書く力を持つ作者が、このような表現を敢えてする理由は、常人の世界に詩人が降りようとしているのではもとよりない。
詩の背後には古今東西に渡る該博な知識が窺われるが、この作者の資質のひとつに、旺盛な知識欲があると思う。
木村氏は、対象に向かうとき、それを知識として把握せずにおれぬという、貪欲な知的欲求を持った詩人なのである。
詩集において、作者は、歴史や風習、語源、植物学・文学史的事実など、微細に、あるときには饒舌に語る。
貪欲な知的好奇心と感覚・詩情が混然して成立する世界、それが詩集『修学院幻視』の詩の世界である
詩集の後半を占める大作「修学院幻視」は、国文学徒でもあまり知らない、江戸期の歌人・後水尾天皇を歌ったものである。
学術書である宗政五十緒『江戸時代の和歌と歌人』に触発されての作であり、まさにこの詩人の本領発揮の大作というべきであろう。
 『修学院幻視』を読み、改めて感じたことは、木村氏が変化する詩人であるということである。しかも、新しく、革新的に。
木村氏の作品にはじめて接したのは、第一歌集『茶の四季』であった。農に従事する作者の、定型の抒情歌であったと記憶する。
しかしその後の歌集において、作者は、一作ごとに詠む対象や表現を新たにし、やがては定型を破り自由律の歌に挑んだ。そうして、さらに、現代詩の創作へと表現を開拓したのである。
 人は普通年齢を重ねるごとに、深みは増すが、己の型を守り保守的になろうとする傾向を持つ。
しかし作者は、歳を重ねる毎に己の殻を破り、新たなものに挑み、日々進化を遂げる。作者の詩は、形式も表現も、柔らかで、みずみずしく新しい。
還暦を迎えた私にとって、木村草弥は瞠目すべき詩人である。
詩集『修学院幻視』で、私の一番好きな詩は「イグ・オリンピック」である。この詩には、作者の屈折した思いが籠る。兄に対する劣等感を素直に詠んだ詩である。
作者は、封建的な時代背景のなか、文学への止みがたい思いを抱きながら、兄にかわって家業を継ぐという事情もあったのではなかろうか。
この詩において作者は、表現の技巧を捨て、少年の語りのような素朴な文体で思いを表出する。そこに、少年のころから体積された作者の思いを見る気がする。
 木村草弥は、単に、雅の世界に、浪漫の世界に、空想の世界に生きるのみの詩人ではない。
並々ならぬ、屈折と反骨の精神を秘めた詩人であり、それが氏の詩の根底を支えているように、感ぜられる。  (完)

                                    小西 亘
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敬愛する小西亘氏から、現役の高校教師として、お忙しい中、このような懇篤な書評を賜った。
有難く御礼申し上げる。
私の「イグ・オリンピック」の詩についても、的確な解釈をしていただき、当を得たものとして受容いたします。
有難うございました。






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