
鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし・・・・・・・・・・・・三橋鷹女
鞦韆(しゅうせん)とは「ぶらんこ」のことである。
中国では、北方の蛮族のものが紀元前7世紀に輸入されたと言い、それほど古くから中国では行なわれていたという。
唐の玄宗皇帝は羽化登仙の感じがあるとして「半仙戯」の名を与えている。
唐詩などにもよく詠われ、それが日本にもたらされた。中国では古来、春の戯れとしたという。
和語では「ふらここ」ともいう。詩歌では、この言葉が愛用される。
掲出した写真はオーギュスト・ルノワール(1841-1919)の絵である。オルセー美術館蔵。
春になって暖かくなったので、若い女性が公園でブランコに乗っている図である。
先に書いたように「鞦韆」は漢字で書いて「しゅうせん」と音読みにする他に「ふらここ」と和語読みにすることもある。
以下、ブランコを詠んだ句を引いておきたい。
鞦韆に抱き乗せて沓に接吻す・・・・・・・・高浜虚子
鞦韆にこぼれて見ゆる胸乳かな・・・・・・・・松瀬青々
鞦韆や春の山彦ほしいまま・・・・・・・・水原秋桜子
ふらここを揺りものいはずいつてくれず・・・・・・・・・・中村汀女
鞦韆やひとときレモンいろの空・・・・・・・・石田小坡
鞦韆に腰かけて読む手紙かな・・・・・・・・星野立子
鞦韆の十勝の子等に呼ばれ過ぐ・・・・・・・・加藤楸邨
鞦韆や舞子の駅の汽車発ちぬ・・・・・・・・山口誓子
鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし・・・・・・・・三橋鷹女
達治亡きあとはふらここ宙返り・・・・・・・・石原八束
ふらここのきりこきりこときんぽうげ・・・・・・・・鈴木詮子
鞦韆と雲一ひらと遊ぶなり・・・・・・・・加藤望子
島の子のぶらんこ島を軋らせて・・・・・・・・谷野予志
ブランコの子に帰らうと犬が啼く・・・・・・・・菅原独去
鞦韆の綱垂る雨の糸に浴び・・・・・・・・堀葦男
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