
↑ トレマロ礼拝堂

↑ 礼拝堂 背面から

↑ 黄色いキリスト磔刑像
──巡礼の旅──(11)─再掲載・初出2013/06/27
ポン=タヴァン「トレマロ礼拝堂」・・・・・・・・・・・・木村草弥
フランス北西部、ブルターニュ地方の小さな村ポン=タヴァン。
村はずれの山道を上りつめると、この地方独特のどっしりとした石造りの礼拝堂が見えてくる。
森の中でひっそりと佇む礼拝堂の中に、その「黄色いキリスト磔刑」像がある。
ポール・ゴーギャンが、辺境の地ブルターニュを初めて訪れたのは1886年。
産業革命で近代化著しい大都会パリに疲れた多くの芸術家たちは、対極的なものを求めてブルターニュにやってきた。
そこには昔ながらの田舎の風景があり、フランス人の起源─ケルトの文化が息づいていたのである。
女性は黒いスカートに「コワフ」という髪飾りをつけており、その姿は、いくつかゴーギャンの作品の中で見ることが出来る。
もともと株の仲買人をしていた彼は、印象派の影響を受けて画家への道に踏み出したのだが、彼の作品が三度にわたるブルターニュ滞在で徐々に印象派から脱してゆく。
そして太い輪郭線で区切った中に平坦な色合いで構成する独特の様式を確立してゆくことになる。
カトリック信仰が色濃く残るブルターニュで、ゴーギャンがキリストの受難や聖書の物語、そして「黄色いキリスト」を題材に描いたのも自然な選択だった。

↑ 「黄色いキリストと居る自画像」

↑ 別の「キリスト磔刑像」の絵
ブルターニュ滞在を含む四年間で、ゴーギャンはさまざまな画家と交流し、パナマへも旅をし、やがて未開の地への憧れを抱くようになる。
ここに引いた「黄色いキリストと居る自画像」はオルセー美術館所蔵のもので、1891年、終焉の地となるタヒチに旅立つ数か月前の作品である。
ここは今でも画家の村として有名なところ。
なお本によると「ポン・タヴエン」と書かれていることがあるが、ポン・タヴァン(Pont-Aven)がフランス語としては正確であることを指摘しておきたい。
この地の写真を載せておく。



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