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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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散歩コースを秋へ延ばす しばらくは蜻蛉の一群を率いてゆく・・・・・・・・・・・・藤原光顕
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──藤原光顕の歌──(2)初出・Doblog2007/10/08──(再録にあたり編集した)

  散歩コースを秋へ延ばす 
   しばらくは蜻蛉の一群を率いてゆく・・・・・・・・・・・・・・・・・藤原光顕


この歌は藤原氏の発行する季刊誌「たかまる通信」No.68 2007/10/01号に載るものである。
藤原光顕氏については2007/01/08に

  「美しい国」では<おまえはアホか>というギャグで暮らす芸人もいて

という歌を掲出して載せたが、ここに再録で全部を貼り付けておく。

   チョイ悪で・・・・・・・・・・・・・・・・・・藤原光顕

暗いアフリカを救うため夜更けて一万円の靴下を売りにくる

「美しい国」では<おまえはアホか>というギャグで暮らす芸人もいて

出来ることできればよくてどっちにでもとれる返事ふえてくる

まァそれなりの欲求はあってボッキのボツの字が出てこない

五十年前捨ててきたはずのふるさとが細川村のまま居座っている

スープさえ二本の箸で飲んでしまうそしてまた一人疎外する

左右交互に出てくる足がおもしろく下向いて歩く散歩のしばらく

ありがたく貰ってきたが日めくりは慌ただしすぎてついていけない

一枚当たり十数円の紙マスクちぎれるまで使って 冬の野郎!

チョイ悪で今年はいこうか 七十年人畜無害できたんやものなァ
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今号はA4・16ページ建てで「なんやねん」という藤原さんの「コラム」欄。「太鼓山日記」という三段組の連載ものがある。「太鼓山」というのは、いまの住まいの地名に由来する。
「季節の詩」という欄には

   年賀状・・・・・・・・・・・・藤原光顕

裏おもて活字の賀状でいいのです お元気ならそれでいいのです

新年の挨拶ができることめでたくてテレビは芸人だけでいい

こんな日もあったメモ黄ばんで それからの時間が元日で

という作品が載っている。
これらも諧謔性があって面白い。

そこで藤原氏が皮肉と諧謔をこめた安倍晋三の姿は、今はもう総理の座にない。
どころか後を継いだ福田首相も政権を投げ出し、麻生太郎の政権が世界不況の中で喘いでいたが、八月の総選挙で負けて、民主党の新政権が発足したが、お手並み拝見というところである。

以下、藤原氏の作品の一連を引いておく。

   夏が終わるよ・・・・・・・・・・・・・・・・・藤原光顕

  どうするの?どうするんだよ、まったくもう、知らないよもう、夏が終わるよ

  散歩コースを秋へ伸ばす しばらくは蜻蛉の一群を率いてゆく

  終いの住み処と来て秋も五度目 火葬場への道いまも知らない

この一連には老年にさしかかった一人の男の「幽愁」の秋が、巧みな比喩と諧謔に満ちて詠われている。
少し解説してみよう。
「どうするの?」の歌は、自由律の作家ではあるが、仔細に読んでもらうと、57577という伝統的な短歌の音数律にほぼ完全に合っていることが見て取れよう。
日本語は西洋詩や中国の漢詩のように「脚韻」を踏むことが出来ないので、古来「音数律」でリズムを形成してきたのである。だから「自由律」とは言えども、日本語で「詩」を発表しようとする限りは、完全な自由詩でない限りは、この古来からの音数律を無視することは不可能である。一音、二音の増減はあっても、この日本語の「定型」の持つ「リズム」の枠を大幅にはみ出すことは、日本語詩として極めて「不安定」「リズムを欠いた」「散漫な」ものになってしまう。現在の「自由律」歌の作家の大半は、このことに無知か無頓着で勉強不足である。
藤原氏の、この歌は読み下してみて、リズム感がすばらしいと気づくのは、そういうことなのである。
「美しい国」の歌も同様である。
この歌にリズムの区切りを入れてみると、こうなる。

  美しい/国ではおまえは/アホかという/ギャグで暮らす/芸人もいて

いかがだろうか。
人それぞれに、さまざまに鑑賞してもらってよいが、玩味してほしい。
同じ号に載る別の連作を引いておく。
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   スローライフ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・藤原光顕

  朝から32度という陽射し 手足の爪摘んでしまうと予定がない

  なるようになるなるようにしかならない居直れば2度ほど涼しい

  病むと聞き癒えたと聞く 三樹彦は今も赤シャツで老いているか

  当然の道理として雨に遅れるバス当然の道理として濡れて待つ

  缶ジュースより安いドリンク剤が効く(ような気がする) まだいける

  喘ぎながらおんぼろの扇風機が回るので時々涼しい顔をしてやる

  一時間に2本のバスが出てしまうスローライフでもやっぱり悔しい

  時実新子、小田実、阿久悠 訃報が続く 消えてほしい奴らはしぶとい

  老人会では靖国と皇居参拝が決まって そんな電話が谷から来る

  ずぶ濡れの湿度へ覚める誕生日と気づくのは午後も遅くのことだ
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写真②は、前にも記事にしたことのある俳人の伊丹三樹彦である。三番目の歌で「伊丹三樹彦」が詠まれている。藤原氏は彼とも親しいらしいことが判る。
余計な私の感想は控えておく。熟読、玩味されたい。


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