FC2ブログ
K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
202007<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>202009
「詩遊」No.63/2019/Summer・・・木村草弥
詩遊_NEW

──冨上芳秀の詩──(3)

       「詩遊」No.63/2019/Summer・・・・・・・・・・・・・木村草弥

この季刊の冊子が贈られてきた。
とにかく冨上芳秀氏はタフな人である。
こまめに、創作にグループ誌の発行に熱心に取り組んでおられる。
最近は毎年1月1日に詩集を刊行されてきたが、今年は都合で刊行できなかった、と謝まられる始末である。
先ず、掲出した冊子の挿絵をみてもらいたい。
冨上芳秀が出す詩集も、この冊子も、すべて上田寛子の手になるものである。
今回のカットの絵は「ASITA BLDG」と描いてあり、恐らく、これは「明日」ビルティングの謂いだろう。
またエレベータの階数表示のところには「63」と、この冊子の連番が描いてある、という「凝り」ようである。
いつもながら、斬新なイラストに敬意を表しておく。

二、三作品を抄出してみよう。

        水光る朝       立花咲也

   くの字に曲がった老人が
   乾いたアスファルトに
   ものすごい勢いで放尿している。

   と思ったら
   枯れたからだの
   ステテコの腰のあたりで持った   
   ホースで散水していたのだった
   ふ
   ふふふ
   思わず笑うと涙が止まらなくなる

   ・・・・・・・

   チリリ
   そろそろ通りたいので
   遠慮がちに自転車のベルを鳴らしてみる
   あっ
   ホースごとこっちに振り向いたら
   あかんっておじいさん
   わっ

   水滴る朝
   今日もきっと暑くなる
--------------------------------------------------------------------
ただいまは、この詩の終連の通り、焼け付くような暑い日が続いている。
それらの日々に因んで、この作品を頂いておく。

        カノッサの屈辱       桑田今日子

   何故だろうか
   時々、思い浮かんでしまう
   カノッサの屈辱という言葉
   世界史の教科書で見たのは
   破門されたローマ皇帝がひざまずいて
   教皇に許しを乞うている挿絵だった
   ・・・・・・・

   昔、軍隊の教練で街中を行進中
   馬から落ちた父は
   「貴様っ、馬に謝れっ」と上官に怒られ
   馬に土下座して謝った
   ・・・・・・・

   その娘が床にひざまずいて
   家の拭き掃除をしている
   「子持たずちゃ、かわいさげに。」
   どこかで聞いた一言を背に
   立ち上がるとき
   えいこらしょっと
   と、わなわなする膝に伝えた

   ・・・・・・・

--------------------------------------------------------------------
タイトルの「カノッサの屈辱」という言葉が的確であり、印象ふかい。

長いので引用するのは控えるが、
   数字遊び    冨上芳秀  という作品が面白い。
いつもながら冨上芳秀氏の「詩」は、プロットが秀逸である。
巻末の「編集後記」の文章の末尾に、こう、ある。
<・・・・・百年経てば、もう名前なんて影も形もない。名前なんか、どうでもいいではないか。
 詠み人しらずというのは、作者ではなく歌そのものが存在するということだ。
 その時、作者は世界そのものを手に入れて、世界そのものになることができる。>

何と凄い「揚言」ではないか。
冨上芳秀氏の今後に期待したい。               (完)




   

コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
copyright © 2020 Powered By FC2ブログ allrights reserved.