
干柿の緞帳山に対しけり・・・・・・・・・・・・・・・・百合山羽公
「干し柿」「吊るし柿」と言っても、さまざまな柿の形がある。写真②は丸い形の柿である。

私の方の南山城地方の柿は「鶴の子」柿といって大振りでない砲弾形の柿である。
専門的に作る農家では竹や杭で骨組みを立ち上げ、菰などで周りを囲い、風通しは良くした素通しの「柿屋」というものに柿を吊るさずに、藁で編んだ菰や莚の上に平らに並べて干す。
柿を剥く時に、柿の「蔕」(へた)も取り去る。「古老柿」ころ柿と称している。
冷たい風が吹きすぎるようになると、順調に白い粉のふいた干し柿になるが、気候が暖かいと、よい製品が出来ないという。
自家消費の場合は量が限られているので、納屋の窓の外などに「吊るし柿」にして陽にあてることが多い。
以下、吊るし柿を詠んだ句を引いて終りにしたい。
吊し柿すだれなしつつ窓を占む・・・・・・・・和知清
吊し柿作りて老婆いつまで生く・・・・・・・・長井哀耳
干柿を軒に奥美濃雪を見ず・・・・・・・・塩谷小鵜
甘柿の粉を吹く風の北となる・・・・・・・・梅田久子
軒端より起れる恵那や柿を干す・・・・・・・・大橋桜坡子
干柿や同じ日向に猫がゐて・・・・・・・・榎本虎山
夜空より外しきたりぬ吊し柿・・・・・・・・八木林之助
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