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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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増山実『甘夏とオリオン』・・・木村草弥
若夏_NEW

──新・読書ノート──

      増山実『甘夏とオリオン』・・・・・・・・・・・・・木村草弥
             ・・・・・・KADOKAWA 2019/12/12刊・・・・・・・・

      人はいつだって、誰かを待っているんやね。

   大阪の下町、玉出の銭湯に居候する駆け出しの落語家・甘夏。
   彼女の師匠はある日、一切の連絡を絶って失踪した。
   師匠不在の中、一門を守り、師匠を待つことを決めた甘夏と二人の兄弟子。
   一門のゴシップを楽しむ野次馬、女性落語家への偏見――。
      
   突然失踪した人気落語家桂夏之助。残された弟子の小夏、若夏、甘夏の3人は途方に暮れる。まずは戸惑い探し回る。
   次いで甘夏が下宿している風呂屋で月に1回深夜の落語会を始める。
   そして小夏が失踪し、若夏甘夏は先輩竹之丞と師匠の足跡を追って九州を巡る。
   男の世界で辛苦し落語に熱い思いを寄せる甘夏には真っ当な青春小説を感じ、夏之助の行方不明、帰ってくるのかと言う希望と諦めにはミステリアスな不条理劇を見る思いがする。

上方落語の世界に取材して、実に細かく、丁寧な書きぶりの本である。
大阪の北野天満宮の境内に建てられた「天満繁盛亭」は、この小説では「南條亭」の名前になっている。
「小夏」の失踪するくだりも、詳細を極めたものである。
この本は、取材先が誰であれ、よく取材して、一つのフィクションとして成功している。

   あー、小気味いい大阪弁でたっぷり生の落語を聞きたくなったわ。
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この本は何冊も本を書いている増山実が、桂米二の女弟子「桂二葉」その他をモデルにして書き上げたもので、TBS系列の「毎日放送」で2020/01/31の「ちちんぷいぶい」で放映された。
実は、この桂二葉は私が敬愛する小説家・沢良木和生の孫娘で、珍しい女落語家であるだけでなく、文筆にも長けていて、毎日新聞の第一土曜日の夕刊に「コラム」の記事を連載している。

増山 実 略歴
1958年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。
2012年に「いつの日か来た道」で第19回松本清張賞最終候補となり、改題した『勇者たちへの伝言』で2013年にデビュー。
同作は2016年に「第4回大阪ほんま本大賞」を受賞した。
他の著書に『空の走者たち』(2014年)、『風よ僕らに海の歌を』(2017年)がある。

「無料で試し読み」出来るので、お読みください。


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