

↑ イタリアの墓地
洗礼名マリアなる墓多ければ
燭ともす聖母の花アマリリス・・・・・・・・・・・・木村草弥
私は 、第四歌集『嬬恋』(角川書店刊)で、このような歌を載せた。
「花」という小見出しのところに収録したが、ヨーロッパの墓地を尋ねた時の印象を、このような歌にしてみたのである。
アマリリスは初夏の花である。
5月後半になって、ようやく私の家のプランターのアマリリスも一斉に開花し始めた。
大柄な華やかな花で、花壇が一気に賑やかになる。
アマリリスは中米、南米原産のヒガンバナ科の球根植物だという。
わが国へは嘉永年間に渡来し、その頃はジャガタラズイセンと呼ばれたという。
花の時期は短くて、一年の後の季節は葉を茂らせ、球根を太らせるためにある。
強いもので球根はどんどん子球根が増えて始末に終えないほどである。
うちの球根も、あちこちに貰われて行ったり、菜園の隅に定植されたりして繁茂している。
以下、アマリリスの句を少し抜き出してみる。
燭さはに聖母の花のアマリリス・・・・・・・・・・・・水原秋桜子
病室の隅の未明やアマリリス・・・・・・・・・・・・石田波郷
ウエートレス昼間はねむしアマリリス・・・・・・・・・・・・日野草城
温室ぬくし女王の如きアマリリス・・・・・・・・・・・・杉田久女
アマリリス跣の童女はだしの音・・・・・・・・・・・・橋本多佳子
太陽に烏が棲めりアマリリス・・・・・・・・・・・・福田蓼汀
アマリリス過去が静かにつみかさなる・・・・・・・・・・・・横山白虹
原爆の地に直立のアマリリス・・・・・・・・・・・・横山白虹
アマリリス泣き出す声の節つけて・・・・・・・・・・・・山本詩翠
アマリリス貧しい話もう止そう・・・・・・・・・・・・川島南穂
アマリリス眠りを知らずただ真紅・・・・・・・・・・・・堀口星眼
アマリリス心の窓を一つ開け・・・・・・・・・・・・倉田紘文
あまりりす妬みごころは男にも・・・・・・・・・・・・樋笠 文
アマリリス描く老画家の師はマチス・・・・・・・・・・・・皆吉司
アマリリス耶蘇名マリアの墓多き・・・・・・・・・・・・古賀まり子
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