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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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第二詩集『愛の寓意』所載・詩「アダージェット」・・・木村草弥
愛の寓意_NEW

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   草弥の詩作品<草の領域>
      poetic, or not poetic,
      that is the question. me free !
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       アダージェット・・・・・・・・・・木村草弥
             吾が爪の変形しゆく夕まぐれ『マーラー五番アダージョ』黄の部屋に盈つ・・・・・・山口紀子

ルキーノ・ヴィスコンティの映画『ヴェニスに死す』というのが あった。
その主題曲として
マーラーのシンフォニー五番、第四楽章アダージェットが挿入され、
多くの人の耳に馴染み深い、忘れられない音楽となった。
ヴェニスを舞台に展開する屈折した同性愛のエロスとは無縁であることは言うまでもないが、
この曲はマーラーがアルマ・シントラーに贈った愛の曲である。

マーラーは一九〇一年十一月に知り合い、一ヵ月後に婚約し、 四ヵ月後に結婚した。

マーラーと親しかったオランダの指揮者メンゲルベルクは自分のスコアの第四楽章のアダージェット部分に、
こんなメモを書き残している。

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このアダージェットはグスタフ・マーラーが アルマに宛てた愛の告白である!
彼は手紙の代りにこの自筆譜を彼女に贈り、言葉を一切添えなかった。
だが彼女はそれを理解し、「来てください!!!」と返事を書いた。
これは二人が私に話してくれたことである! W.M
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また、スコアの左端には、冒頭のヴァイオリンに よる旋律にぴったり当てはまる七行の詩が書き込まれている。

  どれほど君を愛しているか
  私の太陽よ
  言葉では言い尽くせない
  ただ君に憧れ
  君を愛しているとだけ
  訴えることしかできない
  君は我が至福の喜び!


シンフォニックなラヴレターと呼べるアダージェッ トは「言葉なき歌曲」だが、言葉がついているに等しいと言える。

前登志夫の弟子に石坂幸子という歌人が居て、山口紀子と二人で
「たらえふ通信」というハガキによる歌語りを交換していた。
石坂幸子がC型肝炎で逝って「たらえふ通信」と歌友・山口紀子が残された。

    残されて生きる心にほんのりと芙蓉のような明るさありて・・・・・・・山口紀子

その残された山口紀子と木村草弥は、一年弱「えふえむ通信」なる ハガキ通信をしていた。
山口紀子は第三子出産後、厳しい腎臓障害に陥り、週三回の透析を必要とするような生活に苦しんでいた。

   吾が爪の変形しゆく夕まぐれ『マーラー五番アダージョ』黄の部屋に盈つ

という冒頭の歌は、「爪の変形しゆく」と詠って悲痛である。
「えふえむ通信」は、そんな紀子の体調を慮って、つい遠慮する私に紀子が苛立ち、
いつしか通信に齟齬を来たすようになって解消した。
あれから、もう十数年が経つが紀子はどうしているだろうか。

    マーラー死後その妻アルマ波乱なす華やかな恋あまたしたりき・・・・・・・木村草弥



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